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 弁護士の中島です。

 実は先日、当事務所の事務長から「大変です。YouTubeに先生の送った手紙が晒されています!」と連絡を受けました。

 慌てて確認してみると、某動画チャンネルで、私の名義で送付したと思われる書面が取り上げられていました。その動画は、あたかも「〇〇事業者による土地の取得」と「深夜の迷惑行為」が一連の出来事であるかのように示唆するような内容でした。

 いやはや、現代はどこで誰に見られているか分かりませんね。

 動画の趣旨は、私の手紙が、悪質な事業者による土地の収集行為に加担しているのではないか、というもの。しかし、事実は全く異なります。
 これは、私のクライアントの依頼で、事業に必要な土地として、正規の手続きを踏んで取得しようとしていたものです。
 その目的は、動画が主張するような事業とは無関係な事業でした。

 世間的に注目を集めやすいテーマに安易に結びつけられてしまうと、真面目な事業活動もあっという間に悪者扱い。これぞ現代の風評被害の怖いところです。
 私はいつも、複雑に入り組んだ権利関係を、一つひとつ丁寧に解きほぐす地道な仕事を心がけているつもりなのですが、どうも地味すぎてYouTube映えしないようです(笑)。

 さらに興味深かったのが、私の手紙が届いたのと前後して、「深夜1時に何者かがピンポンを押して逃げた!」というエピソードを取り上げ、まるで一連の迷惑行為であるかのように描かれている点です。
 これには、思わずコーヒーを吹き出しそうになりました。

 そもそも、交渉相手に正式な書面を送付し、交渉を求めている弁護士が、なぜ深夜にインターフォンを押して逃げるという、手間のかかる上に何のメリットもない稚拙な嫌がらせをする必要があるのでしょうか。

 深夜にインターホンのカメラに映らないようコソコソする「逃げのピンポン」とは、対極にあるのが弁護士による交渉です。

 真面目に権利関係を整理しようとしている私たちと、その背後にいる心優しい土地所有者の方々までが、悪意ある情報発信のネタにされてしまうのは、本当に面倒で、残念なことです。


 最後に、少しだけ深刻な話を。

 今、日本全国で「所有者不明土地」の問題が深刻化しています。昔、別荘地や投資目的で取得したものの、管理が行き届かず、税金だけがかかってしまう「負動産」と化しているケースは少なくありません。しかし、開発計画や新たな事業の必要性から、そうした土地が突然、価値を持つことがあります。

 弁護士の仕事は、まさにこの「価値の再発見」をお手伝いすることです。身元がはっきりした弁護士が、専門的な調査を経て、書面を送るということは、その土地に何らかの具体的な利用計画や需要が発生している証拠です。

 不安だからと手紙を放置したり、ネットの風評に惑わされて扉を閉ざしてしまうのは、ご自身の財産に関する貴重な情報を捨てることになりかねません。

 もし、貴方のもとに身元が明らかな弁護士から、土地に関する手紙が届いたら、ぜひ一度、その内容を確認し、信頼できる専門家にご相談ください。その一通の書面が、負債だと思っていた土地を、ご家族の財産に変えるきっかけになるかもしれません。

 このコラムが、動画を見て不安に感じたかもしれない方々や、心ある土地所有者の皆様の誤解を少しでも解き、前向きな行動につながるきっかけになれば、何よりです。

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