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目次

 弁護士の笹森学です。

1 再審無罪確定

 袴田巖さんは、2024(令和6)年9月26日、静岡地裁で行われた再審公判で無罪の言渡しを受けました.
 検察庁は、同年10月8日、畝本直美検事総長が無罪判決に対し控訴しない旨の「談話」を公表、翌9日、控訴権放棄の申立がなされて無罪判決は確定しました。

2 刑事補償と無罪費用補償

 そして、事件の後始末として、刑事補償と無罪費用補償を求め、前者では2025(令和7)年3月24日、請求通り2億1636万2500円の刑事補償が認められて支払われ、後者は相当額の補償の交付を求め、なお審理中です。裁判所は袴田さんが身銭を切っていないことを気にしているため、日弁連の補助の金額を算定し、この中から相当額の寄付をする扱いであるなどして主張を補充しています。

3 国家賠償請求訴訟

 また、袴田さんは、静岡地裁に対し、2件の国家賠償請求訴訟を提起しました。
 1件は、前記検事総長談話が袴田さんの名誉を棄損するものであるとして国を被告とする「談話国賠」訴訟。
 「検事総長談話」で検索すると最高検のHPで確認できます。

 もう1件が、再審無罪となった事件の警察、検察、裁判所の誤捜査、誤起訴、誤判を訴え、国と静岡県を被告とする「国賠本体」訴訟です。
 前者は進行協議手続を経て、2回の口頭弁論を経ています。国は検事総長談話は負託を受けた国民に対し丁寧に説明をしたに過ぎず、名誉毀損は成立しないとして争っています。裁判所からは一般人を基準として名誉を侵害するものであることの主張を補充をせよと指示され、検事総長談話に対するニュースについてのコメント欄を集約し様々なコメントを明らかにすることによって一般人たる世間の反応を立証しています。コメントの大部分は名誉毀損だとするもので、一部には「やっぱり犯人だったんだ」とするものもありました。
 後者は200頁を超える訴状のため、なお進行協議手続中で、裁判所から警察、検察、裁判所の共同不法行為なのか否か、そうであれば「共同関連性」の主張がない、そうでなければ警察、検察、裁判所の行為と損害との関連性(どの行為がどの損害に結び付くのか)などの求釈明を受け構成等の再検討を求められています。それゆえ、被告らの答弁書はまだ提出されていません。この調子では、第1回口頭弁論は年明けになると見込まれています。
 また後者は訴訟関係人の合意に基づくmints事件(民事裁判書類電子提出システム)とされているため準備が大変です(甲1号証は32分冊もある刑事確定記録ですが、mintsには容量に限度があるため刑事確定記録を小分けにしてアップし直さなければなりませんでした)。

4 60年にも及ぶ袴田事件の総括

 これまでの冤罪事件の国賠事件は、警察の不法行為を認めるものが殆どで、検察はもとより裁判所の不法行為は認められていません。
 しかし再審無罪判決は5点の衣類、自白強要などの「ねつ造」を認定したものでした。我々は、60年にも及ぶ袴田事件の総括を求め、これからも困難な訴訟を追行して行く所存です。皆様のご理解とご支援を期待します。

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