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 弁護士の内田信也です。

 ついに「ヤマ」が動きました。去る6月27日午後3時、最高裁第三小法廷(宇賀克也裁判長)は、第二次安倍政権下の2013年から3年かけて強行された平均6.5%、最大10%の生活扶助基準の引下げは違法であるとして、引下げ処分を取り消したのです。歴史的な出来事です。全国29都道府県で31件の訴訟が起こされ10年を越えて闘われてきた「いのちの砦裁判」。最高裁判決直前の時点での各地の「判決星取り」は27勝16敗(地裁20勝11敗、高裁7勝5敗)の勝ち越しではありましたが、高裁段階では拮抗しており、予断を許さない緊張した状況で、大阪事件(原告が一審勝訴・控訴審逆転敗訴)と愛知事件(原告が一審敗訴、控訴審逆転勝訴)の統一判断が示されたのです。
 私も最高裁の正門前で全国の支援者のみなさんと一緒に勝訴判決を待ちました。鼓動が高鳴り、身体が震え、不覚にも涙が出ました。
 札幌訴訟も3月18日の控訴審判決で、一審の敗訴判決を取り消す逆転勝訴判決を獲得しましたが、今回の最高裁判決は、札幌訴訟の行く末を確実なものにしてくれました。
札幌高裁判決も最高裁判決も、国が引下げ理由の最大の柱とした「デフレ調整」において「厚労大臣の判断に裁量の逸脱・濫用があり違法である」と断じました。
 「いのちの砦裁判」にはいくつもの争点がありますが、そのうちで、最大にして一番わかり易い争点が「デフレ調整580億円」です。一言でいうと「デフレにより生活保護世帯の可処分所得が実質的に4.78%増加したから、その分、生活扶助費を減らした」というものです。国は、統計や数字、難しい計算式を持ち出して「デフレで物価が安くなった」といいます。しかし、実際に買い物をしてみればすぐわかりますが、安くなったのは生活保護者が買うことのないテレビやパソコン等の電化製品であり、生活保護者に一番必要な食費と水道光熱費は高くなったことはあっても安くなんかなっていません。このデフレ調整を、厚労省が自民党の選挙公約を実現するために考え出した「物価偽装」であると喝破したのは、ジャーナリストの白井康彦さんでした。さすがに最高裁判決には「物価偽装」という表現こそありませんが、「裁量の逸脱・濫用があり違法である」というのはそういうことなのです。
 行政事件訴訟において日本の裁判所が、原告を勝たせることは滅多にありません。それが、勝率6割を越え、それを最高裁も認めたというのは「歴史的大事件」と言ってよく、私たちは今、戦後80年になる日本の司法界において、誰も見たことのない光景を目の当たりにしているのです。それほど、我が国の生活保護行政が悪辣で、憲法25条の精神に反している、ということでもあります。
 さて、問題はこれからです。厚労省は今回の最高裁判決を受けて、謝罪するかと思いきや、そんな雰囲気は微塵もなく、「生活保護を引き下げること自体は間違っていなかったが、やり方をミスった。この次からはもっと上手くやろう」と開き直り、それを後押しする社会的な生活保護バッシングの広がりを待っているように見えます。日本というのは黙っていると殺されてしまう国です。ですから、しっかり総理大臣と厚労省に謝罪させて10年分の被害回復を実現し、きちんと落とし前を付けて、生活保障法制定へ向けた真の制度改革を実現するまでわれわれの運動は続きます。今後ともどうぞご支援をよろしくお願いいたします。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      


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