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弁護士の三浦桂子です。
○ 赤根智子さんが所長を務める国際刑事裁判所(ICC)
オランダ・ハーグには、画家フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」で有名な美術館や、国際刑事裁判所(ICC)があります。
ICCは、2002年に設立され、集団殺害犯罪、人道に対する犯罪、戦争犯罪、侵略犯罪という、国際社会共通の関心が集まる最も重大な罪を犯した「個人」の刑事責任を追及する独立した国際機関です。
ICC設立の根拠となる国際条約「ローマ規程」に入った締約国は125カ国・地域で、日本は、2007年に105番目の締約国になりました。米国・中国・ロシア・イスラエルなどは非締約国です。
赤根智子さんは、日本で長く検察官をしていましたが日本政府からの強い奨めで立候補し、2018年3月からICCの裁判官になりました。粘り強い仕事ぶりが評価され、2024年3月、所長に就任しています。
○ 米国によるICCへの攻撃
ICCは、2023年、ロシアのプーチン大統領らに対して、ウクライナから子どもを連れ去った疑いで逮捕状を出しました。2024年には、パレスチナ自治区ガザでの人道に対する罪などの疑いでイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出しました。
トランプ政権は、ICCがイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出したことに反発して、2025年2月、ICC 関係者への制裁を可能とする措置をとり、更に、2026年8月には、所長の赤根智子さんも制裁(米国内資産凍結、取引制限、入国制限等)の対象としました。
トランプ氏は、かねてから国際法は不要、ノーベル平和賞も自分がふさわしいなどと主張していましたが、2026年10月9日、ノーベル平和賞はICCの元裁判官ナビ・ピレイさんが受賞。その発表の数時間後にトランプ政権はICC本体を制裁対象に指定し、解体するとまで言及し、制裁発動まで180日の猶予を設けると発表しました。
米国の制裁が実施されれば、米国内の資産は凍結され、米国人や米国企業との取引、米国企業のITシステムの使用も禁止され、ICCの活動は機能不全になってしまいます。
○ 大国による「力による支配」を押しとどめ、国際法による「法の支配」を
ICC加盟国の日本、カナダ、デンマーク、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、イギリスの8か国の外相は、米国の制裁に強く反対するという共同声明を発表し、 ICCを支持しています。
日本政府は、日本から選出された赤根所長が政治的圧力を受けることなくその職務を全うできるよう、米国政府に制裁措置を直ちに撤回するよう行動すべきです。
○ 「法の支配」は希望の灯り
「法の支配」というと、何か教科書の中の抽象的で遠いものと感じがちです。しかし、赤根智子さんは著書の中で、ICCの活動には「戦争の惨禍などに苦しむ世界中の被害者たちの希望が託されていることを忘れないでほしい。この人たちの希望の灯りを消してはならないのです」と、「法の支配」を守っていこうとする動きが一層高まることを私たちに期待しています。
著書では、あまりなじみのないICCの役割について分かりやすく書かれています。加えて、生まれ育った名古屋のまだ封建的だった昭和の時代のこと、就職時の苦労、検察庁は女性を歓迎してくれて検事の仕事は面白かったこと、でも1988年に配属された検察庁の支部には女性用トイレがなく、男女兼用の個室を使ってくれと言われたが、個室の戸の磨りガラスの真ん中あたりは摩耗し透明になっていて、とてもじゃないが使えない、しかたなく隣の裁判所の女性用トイレに日常的に通っていたこと、etc、etc・・・、ICCの裁判官になる前の歩みも、ユーモアを交えて書かれています。
是非、お読みいただき、語り合いましょう。
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