弁護士の横山浩之です。
私たちが労働問題に関する相談を受けることはたくさんありますが、その中で少なくない相談が、そもそもご自身が雇用契約を締結している労働者なのか、それとも業務委託契約なのかが曖昧になっており、労働者に該当するか、というものです。
労働者に該当するか否かという問題は、割増賃金の請求ができるか、勤務中に怪我や病気になった場合の労災保険の適用があるか、雇用保険の適用があるかなど、様々なところに関わる重要な問題です。
ある人が「労働者」に該当するかどうかは、契約書に記載された名称や形式的な契約の形態によって決まるものではありません。実際の働き方や報酬の計算方法・支払方法など、実質的な状況を総合的に見て判断されます。
労働者性の有無を判断する枠組みとしては、主に以下の2つの観点から検討されます。
(1) 指揮監督関係の有無
(2) 労務提供に対する報酬(労務対償性)の有無
上記(1)(2)の主たる考慮要素として、以下のような事情があります。
■ 仕事の依頼を断る自由があるか
会社からの仕事の指示を自由に断ることができない場合は、労働者性が肯定される方向の事情として考慮されます。
■ 業務遂行における指揮監督の有無
業務の内容や遂行方法について、会社が具体的な指示や命令を出している度合いが強いほど、労働者性が肯定される傾向があります。
■ 時間・場所の拘束性
勤務の開始・終了時刻、働く時間帯が指定されている場合や、業務を行う場所が会社によって指定されている場合には、労働者としての時間的・場所的拘束性が高いと評価されます。
■ 業務の代替性
本人以外が業務を代わって行うことが認められていない場合には、労働者性を肯定する事情と考えられます。逆に、代替が自由にできる場合には、労働者性が否定される方向で考慮されます。
■ 報酬の算定・支払方法
名称にかかわらず、労働時間に比例して報酬が計算される仕組みがある場合は、労務提供に対する対価性が高く、労働者性が強まる要因になります。
■ 事業者性の有無
自ら業務に必要な器具を準備したり、報酬額を自己の裁量で決定するなど、独立事業者としての性質がどの程度備わっているかも重要です。
■ 専属性の程度
他の会社の業務に従事できない契約上の制限があったり、報酬の大部分を1社から得ているような場合には、その会社への依存度が高く、労働者性を肯定する事情として評価されます。
■ その他の考慮事情
正規従業員と同様の採用手続がとられていること、給与所得として源泉徴収や社会保険が適用されていること、服務規程・退職金・福利厚生の適用があること、正規労働者と労働条件・実態が近いことなども、労働者性を肯定する事情として重要です。
もっとも、労働者性の判断は、上記の判断枠組みや考慮要素を踏まえつつ、専門的な判断が不可欠です。労働者に該当するかどうかは、上記で述べたとおり、割増賃金の請求や有給休暇の取得、労働災害時の労災申請、無期転換の申し出など、雇用契約に基づく権利行使全般に関わってくる問題です。
少しでもご不安なことがあれば、お気軽にご相談ください。
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