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弁護士の佐藤博文です。

参議院選挙の投開票が21日に行われました。皆さん、どんな思いで投票されましたか。その結果をどう受け止めていますか。私は、これからの3年間(昨年末の総選挙での自民党圧勝により4年間解散がない可能性あり)は、日本国憲法の下で培われてきた日本社会の民度が最も試される時期になると、覚悟を決めました。

1. TPP交渉参加問題でも、原発問題でも、消費税増税問題でも、憲法改正問題でも、雇用・賃金問題でも、どの世論調査からも自民党政権の政策に対する反対あるいは批判が過半数を占めているのに、選挙権を行使した人が少なく(投票率は52.61%)、そのうえ少数世論にすぎない政権与党が圧勝しました。
民主主義の観点からは、国民世論が国会に鏡のように反映されるべきです。そこで大いに議論し、合意を形成するのが民主政治の神髄であり、理性による政治というものです。ところが、「ねじれ解消」と言われ、数の力によって少数意見を切り捨て、しかもそのスピードを求める議論は、民主主義を「多数決主義」に歪曲し、個人の尊重に基づく「立憲民主主義」に反するものです。
このような民意と議席とのギャップを生み出している大きな要因が、昨年の総選挙でも顕著になった「小選挙区制」です。この解消が緊急の課題になっていると思います。

2. 日本の政党には世界のどこの国にもないほど多額の税金が交付されていることをご存じですか。政党(日本共産党を除く)は、有権者に財政的な負担を求める努力をせずに、議席が与えられるのです。以下に、今回の挙結果と、政党交付金の配分を一覧表にしてみました。皆さんは、どう思いますか。
これでは有権者と政党との間に緊張感と責任感のある「委任関係」は生まれません。支持もしていない人からお金を取るのは、政党としては強盗の論理に等しく、有権者からすると思想信条の自由に対する侵害です。政党は、支持者に活動資金の拠出を訴えそれによって活動してこそ、有権者が言うべきことを言い、政党は責任を果たそうとするという正しい関係が生まれるのではないでしょうか。

3. 今回の選挙で、「明確な改憲勢力+政権与党の公明党」の議席数を見ると、163議席(67.4%)国会の発議要件である3分の2をギリギリ超えました。憲法改悪が「紙一重」のところに来てしまいました。日本維新の会の石原代表は、「今回の選挙で憲法改正に道筋を付けることができた」とコメントしています。悔しいですね。
国民主権と徹底した人権保障、恒久平和主義を謳う日本国憲法を守り、その憲法に基づいた政治を実現するために、腰を据えた闘いがこれから待っています。


[今回の選挙結果と政党交付金]
今回 新勢力 政党交付金(2013年度)
政権与党 自民党 65 115 145億5053万円
公明党 11 20 25億5791万円
みんなの党 8 18 17億8950万円
日本維新の会 8 9 27億1578万円
民主党 17 59 85億3402万円
日本共産党 8 11 政党交付金の廃止を求め受領拒否
生活の党 0 2 8億1605万円
社民党 1 3 5億4104万円
新党改革 ー 1 1億2468万円
みどりの風 0 0 1億3879万円
諸派(沖縄・糸数慶子) 1 1
無所属 2 3


[参議院の勢力と憲法改正発議要件3分の2との関係]
改憲発議に必要な参議院3分の2 ⇒ 162議席/総議席242
改憲勢力 自民・みんな・維新・改革 ⇒ 143議席(59.1%)
+公明党 ⇒ 163議席(67.4%)
+民主党 ⇒ 222議席(91.7%)

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