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 弁護士の桝井妙子です。

 シアターキノで上映されている映画「教育と愛国」を見てきました。一人でも多くの人に観ていただきたいと強く思う映画でした。

■2014年の教科書検定基準の変更
 この映画では主に教科書をめぐる問題が取り上げられています。2014年に社会科の教科書検定基準が変更され、社会科の教科書の記述について「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的見解又は最高裁判所の判例が存在する場合には、それらに基づいた記述がされていること。」とされました。

 「え?」と思いませんか?

 この基準によれば政府の統一的見解に基づいた記述がされていない教科書は検定をクリアできないことになります。政府が「そのような事実はなかった」と閣議決定してしまえば、歴史的に存在した事実であっても教科書には記載できなくなる??そんなことが許される??頭の中は疑問符だらけです。

■歴史を学ぶ意味は
 さらに映画の中では、保守派の高名な歴史学者が歴史を学ぶ意味を問われ、驚くべき回答をします。

 歴史を学ぶ意味はどこにあるのでしょうか。
 フランスの詩人ルイ・アラゴンは「教えるとは、希望を共に語ること、学ぶとは、誠実を胸に刻むこと」との言葉を残しています。

 過去に誠実に向き合い、今をどう生きるか、そして未来をどう描くか。共に語り合い、より良い未来をつくっていくために私たちは歴史を学んできたのではないでしょうか。

 戦後、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。」(旧教育基本法10条)とされました。教育委員会も首長からの独立性を保ってきました。これらの仕組みは教育が戦争へ突き進む日本を支える役割を担ってしまったことへの反省に立ってのことです。「歴史は繰り返す」と言われますが、決して繰り返してはならない歴史もあるのです。

■憲法の掲げる理想の実現
 私にとって新たな発見もありました。

 「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。」

 映画の中で旧教育基本法前文が紹介されます。この前文を読んで、日本国憲法が掲げた理想は教育の力によってこそ実現されるものだったのだと実感し、日本国憲法と旧教育基本法の深い結びつきにとても感動しました。
 上映後のサイン会でMBS(TBS系列の在阪放送局)記者でもある斉加尚代監督から映画のパンフレットにサインをいただき、直接感想を伝えられてとても嬉しかったです。

 12月1日までシアターキノで上映されています。みなさま、ぜひご覧ください!


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