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「朝日交通訴訟,時間外割増賃金請求で勝訴」

タクシー会社朝日交通の運転手6名が,時間外割増賃金の未払730万円の支払いを求めた訴訟で,原告の主張を全面的に認め,約700万円の支払いを命じる判決が言渡されました。9月29日付北海道新聞朝刊にも報じられています。
朝日交通の賃金体系は,完全歩合制であり,時間外割増賃金を含んでおらず,労働基準法に違反すると,判決で運転手側の主張が全面的に認められました。また,労働基準法上の制裁的意味合いがある付加金についても,認容額と同額の700万円の支払いが命じられました。
完全歩合給制は,タクシー運転手の給与を、営業収入(売上)の一定割合とする賃金計算方法です。規制緩和後の競争激化と市場縮小のもとで,過去と同等ないしそれ以上の売上を上げることが困難となった多くのタクシー会社が,諸経費の七割以上を占める運転手の人件費(給与)を削減すべく完全歩合給制を導入しています。判決で「完全歩合制は,出来高を上げるために無理な運転を助長し,運転手及び乗客らの安全性に関わる。違法行為を防止するため,付加金の支払いを命じるのが相当だ」と裁判官が述べています。この判決が,タクシー労働者の賃金体系の改善につながることを期待しています。
なお,この事件は,当事務所の佐藤哲之が代表をしている北海道タクシー労働者支援弁護団が取り組んできた事件の一つです。北海道タクシー労働者支援弁護団には,佐藤博文,川上有,渡辺達生,山田佳以も参加しています。

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