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弁護士の橋本祐樹です。奨学金問題、第3部です。

日本学生支援機構の奨学金は、従来の日本型雇用を前提としています。企業の業績は右肩上がり、終身雇用で給与も右肩上がり、というモデルです。
しかし、現在、非正規雇用の割合が増加していますし、正規雇用であってもブラック企業に就職してしまったりして心身を壊し退職したり、リストラされたりと、雇用は不安定になっています。

このような場合、低賃金であったり、賃金を失ったりすると、奨学金を返そうと思っても返せない状態が生じます。
では、奨学金の返済を延滞するとどうなるでしょうか。

まず、奨学金を延滞すると、延滞金がつきます。これは元本に対して年利10%です。延滞金が発生した後、返済を再開した場合、延滞金→利息→元本の順に充当されます。ですから、元本の10%以上の返済ができなければ、永遠に延滞金ばかりを払い続けることになり、一向に元本は減らないままになってしまうのです。

延滞が3か月になると、延滞者情報が個人信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に登録されます。ブラックリストに登録されると、ローンやクレジットカードの利用が困難となり、将来設計に影響が出てしまいます。そして、ブラックリストに登録されると、返し終えても、5年間は情報が残ってしまうのです。2012年5月の時点で、1万2000人を超える登録者がいます。

延滞が4か月に至ると、日本学生支援機構は、延滞債権の回収をサービサーに委託します。「奨学金」という学ぶためのお金、高等教育を支える資金が、一気に「普通の債権」として回収されることになります。2011年度では約7万件がサービサーにより回収されています。

延滞が9か月に至ると、支払督促の申立が行われます。裁判所から書面が送られてきて、裁判所の手続に引っ張り出されます。支払督促の件数は、2000年に300件あまりだったのが、2011年には1万件を超えるなど、激増しています。

このように、教育の機会均等のための資金という「奨学金」の性質を無視した、有無を言わさない回収強化策が採られており、返したくても返せない若者を苦しめているのです。

では、返還が困難なとき、どうすればいいのでしょうか。その方法についてはto be continued…

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