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目次

弁護士の山田佳以です。

1 離婚する夫婦は3組に1組

 2022年の婚姻件数が約50.5万組であるのに対し、離婚件数がその3分の1強の17.9万組だということから、およそ結婚した3組に1組が離婚していると言われています(特殊離婚率、厚生労働省「人口動態統計月報年計(概数)」)。このようにみると、離婚の割合は少なくありません。
 また都道府県別で離婚率をみると、1位沖縄県、2位大阪府と福岡県、4位宮崎県に次いで、北海道は5位でした(2021年都道府県別にみた年次別離婚件数・離婚率(人口千対))。
 離婚を決めた理由をみると、夫側、妻側ともに1位「性格の不一致」、2位「精神的虐待」でした(2022年司法統計・裁判所)。
また、離婚の方法は、協議離婚が88.3%と全体の約9割を占め、裁判離婚は11.7%でした(調停離婚8.3%、審判離婚1.2%、和解離婚1.3%、判決離婚0.9%)(2022年度「離婚に関する統計」の概況)。
 このようにみてみると、離婚は多くの人が経験し、夫婦だけの話し合いで円満に離婚するケースも多く、弁護士に相談する必要はないと思われるかもしれません。離婚は、家庭の問題ですから、双方とも対立的にならずに円満に解決することを望み、手続きも離婚届を1枚出すだけですので、それ自体は難しいものではありません。
 それでもやはり、離婚を決めたら、まず一度、弁護士に相談することをお勧めします。一口に「離婚」といっても、検討・解決しなければならないことはたくさんあります。多くの方にとっては初めての離婚であって、わからないことや不安に思うことがあるのは当然です。
 実際、離婚のご依頼は非常に多く、それは弁護士に依頼することが大きな安心につながるからにほかなりません。
 離婚は大きな人生の転機ですから、後に「こんなはずじゃなかった」、「もっとしっかりと準備しておけばよかった」など、後悔していただきたくありません。離婚後の人生を豊かで明るいものとするために、準備すべきこと、考えておくべきことについて、専門家である弁護士の助言を受けることをお勧めします。

2 「離婚したい」それは「産後クライシス」かもしれない

 同居期間別で離婚の割合をみると、5年未満の早期離婚が最も多く、その次に同居期間20年以上の熟年離婚が多くなっています(2022年 人口動態統計月報年計(概数))。
 実際に、離婚のご相談をお受けする際、小さなお子さんを抱えた女性の相談は少なくありません。
 「産後クライシス」とは、産後に起きる様々なストレスやトラブルから、夫婦の関係が悪化して危険な状況に陥ることをいいます。
 「産後クライシス」は、産後の女性ホルモンバランスや体調の変化、子育ての疲れや慢性的な睡眠不足、子育てへの不安感などに加え、授乳をはじめ母親の負担が大きいことにより、イライラしやすくなったり、夫が育児に非協力的ないし協力が不足しているように見えてしまうなど、夫婦間での感情のずれが生じやすいことなど様々な要因によるとされています。
 また、子育てに追われ、夫婦間の感情のずれを修復する余裕がないまま、夫婦間のコミュニケーションが不足することで、さらに「産後クライシス」を悪化、長期化させてしまうとされています。
 夫が育児に協力してくれなくて辛かった、妻がいつもイライラしている等が背景にあり、夫婦間のすれ違いが生じている場合は、もしかしたら「産後クライシス」かもしれません。そして、「産後クライシス」に思い当たる方は、離婚を考える前に、まずは夫婦関係を改善する方法を考えてみてください。

3 離婚すると決めたなら(離婚の準備の重要性)

 離婚の決意が固まったら、離婚に向けた準備が重要です。離婚は一人でできるものではなく相手のあることなので、相手が応じなかったり、話し合いがまとまらない場合には、調停、裁判等の裁判所を利用した手続きになります。
 また、離婚する夫婦の約9割は話し合いで離婚していますが、スムーズに離婚できたと思っても、後になって大きな問題が発覚し後悔することもありますから、事前の準備は重要です。
具体的には、離婚ができるかや離婚に伴って解決すべき条件(婚姻費用や財産分与、年金分割、慰謝料、お子さんがいれば親権や養育費等)について、どのような選択肢があるのか、どのように解決をしたいのか、希望する解決方法(ゴール)を決めましょう。
 希望する解決方法が決まったら、それを実現するために必要な証拠は何か、どうすれば必要な証拠を収集しうるかについて、考えましょう。また併せて、どのような証拠があれば希望する解決が可能であるかの解決の見通しや、証拠が収集できなかったときに生じうるリスクについても把握しておく必要があります。
 さらに、離婚後の生活を見据えて、離婚後の収入の見通しなどの生活基盤を整えることも大切です。
 それらの準備を概ね終えたら、相手に離婚意志を伝える時期や方法を考えましょう。
 このように、離婚を決意してから相手に離婚を切り出す前に、段階的にいろいろな検討や準備を積み重ねていく必要があり、簡単なことではありません。結婚よりも何倍もの大きなエネルギーが必要ですし、相手に対するネガティブな感情も絡むこともあり、心身ともに疲弊することは避けられません。
 そのため、あまり一人で抱え込まずに、不安やストレスを感じたら、専門家である弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
 弁護士に相談すれば、離婚に向けて必要な準備や進め方について、細かく具体的なアドバイスが得られます。また、話合いで離婚の合意ができずに調停や裁判を行う場合にも、弁護士に依頼すれば交渉や手続を任せることができます。
 また、早い段階で相談したほうが、よりスムーズに有利な離婚を目指せます。そのため「離婚したい」と決意したらできるだけ早く弁護士へ相談することをおすすめします。

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