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弁護士の池田賢太です。

2014年5月11日、小樽の街に約200人が結集しました。「カジノ誘致に反対する小樽市民の会」の設立総会です。私は、その総会後の記念講演の講師として参加してきました。
カジノやギャンブル依存症について知識があるわけではないのですが、小樽は私の母の出身地ですし、何より母校(小樽商科大学)の恩師から指名を受ければ断ることはできませんでした。

そんな状況だったので、講演をするにあたっていろいろな資料や映像を見て勉強しました。皆さん、カジノと言えば、どんな印象をお持ちですか?

きらびやかなネオンの中で、タキシードを着た紳士がルーレット台の横にたたずむ。
お金持ちの紳士淑女が優雅に遊ぶ施設。乱れ飛ぶ札束とウハウハ気分。
なんと言っても、ラスベガス!

私もそんなイメージしか有りませんでした。
でも、実態はそんな生易しいものではありませんでした。ギャンブル依存症、多重債務、治安悪化、犯罪増加、人口流出・・・。どれをとってもカジノで町おこしになるとは全く思えません。少し先を行く韓国のカジノは、まざまざと現実を見せてくれました。

そもそも、カジノは賭博です。カジノ施設は賭場です。どちらも刑法で禁じられているにもかかわらず、なんとなくカタカナってかっこいいイメージを与える気がします。

「わたしの街にカジノが来るんだって!」
「わたしの街に賭博場が来るんだって!」

2つは全く同じ内容ですが、印象は全く違いませんか?

日本には、すでにカジノと呼べるものがあります。パチンコです。
2011年の警察庁の調べでは、日本のパチンコ店舗数は1万2323店舗、パチンコ台数は458万3000台あるということです。世界中のギャンブル機械が701万1308台ということですので、日本に世界中の約65%のギャンブル機械があることになります。
1260万人がパチンコ愛好者で、厚労省調べでも500万人がギャンブル依存症者だとされています。依存症は、病気ですので適切な治療が必要です。しかし、ギャンブル依存のような行為依存の場合には、薬物依存などと異なり、自分の行為に依存していますから、自分自身が依存症者であるという認識を持つことがとても難しいと言われています。日本における、依存症者への対策はまだまだ遅れていると言わざるを得ません。

また、多重債務の問題にしても全く同じです。終わったのはいわゆる「過払いバブル」だけで、多重債務の問題は何一つ終わっていないのです。
多重債務者と聞いて、皆さんはどんなイメージを持つでしょうか。「お金の管理もできないだらしない奴」と思うでしょうか。私も、弁護士になる前はそうでした。
しかし、相談に来る多重債務者の方の多くは、真面目な方が多いという印象です。しっかり、地道に払ってきたんだけども、どうしようもなくなって相談に来たという方がほとんどです。そして、借入れをした原因の多くは、生活費の不足分を補うためでした。給料が減った、病気をして働けなくなった、解雇された・・・。そのようなときに、公的な援助が充実していないために、生活が成り立たなくなる。優しく手を差し伸べてくれるのは、消費者金融しかなかったというケースが少なくありません。多重債務者は、社会保障が充実していないがための「被害者」という側面も大きいと思います。

労働法制も改悪されようとしています。「一生ハケン」の働き方が現実化しています。そのような中で、一攫千金で大金持ちになれるかもしれないという幻想をカジノは抱かせます。カジノは、何も生み出しません。偶然による富の移転でしかありません。
日本の世界に誇る技術力は、その継承者を失い、高めたいはずの「国際競争力」はどんどん落ちていくでしょう。

カジノは、今の社会の矛盾から目をそむけさせるための「目くらまし」でしかありません。一時的には活気づくかもしれませんが、残るのは今よりもひどい現実です。
カジノ法案は、すでに昨年衆議院に提出され、5月20日にも、内閣委員会で審議入りと言われています。何としてもこの法案を通すわけにはいきません。今からでも遅くはありません。しっかりと学び、「賭博で町おこしなんかいやだ!」という声を挙げていきましょう。

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