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札幌琴似工業高校の川原茂雄教諭が,原発や放射能をテーマにした「出前授業」の内容を3冊の本にまとめ出版する際,その出版許可申請を受けた北海道教育委員会が「不許可」としていたことが,朝日新聞(1月30日付夕刊),北海道新聞(1月31日付朝刊)に報じられています。

【不許可決定】
地方公務員が報酬を受ける事業にかかわる場合,任命権者の許可が必要であり,本の出版により印税を得ることになる場合「営利企業等従事許可願」の提出が求められるため,川原教諭が昨年10月下旬に申請をしていたものです。昨年12月6日付の不許可とのこと。

【出版】
川原教諭は,印税十数万円を福島県の子どもを支援する市民団体へ寄付する予定で,道教委の不許可決定を受け,印税を出版社から団体に,直接送る手続きをとって,本は昨年12月に出版されました。

【不許可理由】
道教委は不許可理由を「原発事故で被害を受けた人も多い。出版で報酬を得ることで誤解を招いたり,公務員の信用を傷つけたりする恐れがあった」「原発問題は政治的争点で,衆院選にも重なるデリケートな時期だったため」などと説明しています。

【出版・表現の自由の侵害】
当事務所の佐藤博文(札幌弁護士会憲法委員会事務局長)は,朝日新聞の取材に対して「内容が公序良俗に反しておらず,不相当に高額な報酬ではない。原発の本を理由に事実上不許可にしたことは憲法21条(※)が保障する出版・表現の自由を侵害する」とコメントしています。

※ 憲法21条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

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