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弁護士の山田佳以です。

近隣に「かかりつけのお医者さん」をもっている方は多いですが、医者に比べて弁護士はあまり親近感をもたれておらず、敷居が高く、できれば関わりたくないと考える方も多いのではないでしょうか。

他方で、65才以上の高齢者は約3000万人、要介護状態の人は約500万人、1人暮らしの高齢者は約440万人にのぼるとされる今日の超高齢化社会において、高齢者が地域でその人らしく生活する上では、様々な問題に遭遇します。

現に、リフォーム詐欺や悪質な訪問販売などの消費者被害は増加していますし、物忘れや心身の衰えからくる将来の財産管理に関するご相談や、死後の葬儀や遺言・相続等の財産処分に関するご相談をお受けすることも多くあります。

そこで、今回は、比較的ご相談をお受けすることの多い、ご高齢の方の財産管理に関する法的制度とホームロイヤー契約について簡単にご説明したいと思います。

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【財産管理について】
年齢を重ねるにつれ、次第に財産管理(預貯金の管理、所有不動産の管理)に不安を感じたり、体調等の悪化から金融機関に手続に行くことが困難となってしまうことがあります。しかし、安心して毎日の生活を送る上で、適切に財産を管理することは必要不可欠なことです。

そのような場合に備えるための財産管理に関する法的制度は、主に次のア〜ウがあります。


ア 財産管理委任契約…契約を結んで財産管理等を依頼する
財産管理委任契約とは、ご本人と弁護士が、財産管理や生活する上での事務処理(身上監護)について契約を結んで、管理等を依頼する契約です。契約を結びますので、ご本人が契約の内容を理解していることが前提になります。ですから、たとえば認知症が進んでいて、この理解ができないという場合には契約を結ぶことはできず、後述ウの「法定後見制度」を利用することになります。

財産管理委任契約においては、契約の内容を弁護士と相談して自由に決めることができます。例えば、身上監護(定期訪問等の見守り)や財産管理、葬儀や埋葬に関する死後の事務や相続財産の管理や処分を委任することができます。具体的には、ご本人と相談の上、土地などの権利証や、預金通帳などの大事なものをお預かりして弁護士が保管することで、悪徳商法や詐欺等の被害を未然に防止するほか、毎月、ご自宅に訪問して必要な生活費をお渡しするとともに生活状況をお伺いしたり、施設や病院におられる方の場合は、施設や病院に費用を支払ったりします。高齢の両親が遠方にいて心配な場合に利用されるのもよいのではないでしょうか。


イ 任意後見契約…公証人役場で契約し、監督体制も整備
任意後見契約は、財産管理をはじめとする生活全般に関わる事務を弁護士に委ね、もってご本人の生活全般を支援する点で前述アの財産管理契約と共通しています。また、ご本人が契約の内容を理解できることが必要である点も財産管理委任契約と同様です。

任意後見契約の特徴は、ご本人がご自身で管理することができる間は、財産管理・身上監護は始まりませんが、ご本人自身で管理することが困難になったときに初めて、任意後見人による財産管理・身上監護が始まる点にあります。その際、裁判所が任意後見人を監督する監督人を選任します。

財産管理契約との違いは、財産管理契約が弁護士との私的な契約であって、第三者の関与・監督が予定されていないのに対して、任意後見契約は、公正証書によって契約を締結することが必要とされること、任意後見契約の登記がなされること、任意後見人の職務を監督人及び裁判所が監督するという厳格な体制がとられている点にあります。


ウ 法定後見制度…裁判所で管理人をつけてもらう
認知症の方や知的障害・精神障害のある方など、判断能力の不十分な状態にあるご本人について、ご本人やご家族などの申立てにより、家庭裁判所がご本人を援助してくれる成年後見人等を選任する制度です(判断能力の程度によって、後見人、補佐人、補助人が選任されます。)。法定後見制度は、精神上の障害等により判断能力が十分でない方の保護を図りつつ自己決定権の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーション(障害のある人も家庭や地域で通常の生活をすることができるような社会を作るという理念)をその趣旨としています。ですから、後見人が選任されても食料品や日用品・衣類等の購入等の日常生活に必要な範囲の行為はご本人が自由にすることができます。

また、従前は、後見人が選任された場合は、ご本人の選挙権は剥脱されるとされていましたが、2013年5月28日の参院本会議で改正公選法が成立し、成年被後見人にも選挙権と被選挙権が認められることになりました。

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【ホームロイヤーについて】
このように、財産管理に関する制度はいくつかあるので、ご自分にあった制度を上手に利用すれば、晩年の身上監護や財産管理のみならず、死後の葬儀等についての不安は解消されることと思います。

他方で、特にご高齢の方の場合、損害賠償、賃貸借、破産・債務整理、消費者被害、相続、離婚、生活保護、遺言、施設契約、医療・福祉サービス、虐待など、直面しうる問題は多種多様です。
医療や介護、住まいの問題等の日常的な困り事の場合、弁護士にアドバイスを受けたいが、大した問題ではないような気がして法律事務所を訪れるのは気が引けるという方は意外と多いのではないでしょうか。

かかりつけのお医者さんがいると安心なように、人生で起きる様々な法的問題を、決まった弁護士に気軽に相談できたらいいですよね。問題が起きるたびに、違う弁護士に一から話をするのではなく、いつも同じ弁護士に相談できるので安心ですし、ご自身の気持ち、生活、状況にあった法的アドバイスがスムーズに受けられます。また、定期的に法的アドバイスを受けることで、紛争を未然に防ぐことにもつながります。

ホームロイヤーとは、いわば、あなたの顧問弁護士です。
どんなことをどのくらいの頻度で相談するかは、弁護士と自由に決めることができます。

任意後見契約を締結した弁護士とホームロイヤー契約も結んでおくと、任意後見契約が発行するまでの間、任意後見人となる弁護士といろいろな相談ができ、ご自身の意思・希望に沿った任意後見業務が実現できることになります。

ホームロイヤーについてのパンフレットもご参照下さい。
(ページ上部の「アップロードファイル 149-1.pdf」をクリックすると閲覧できます。)

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