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 弁護士の桝井妙子です。令和2年度重要判例解説(ジュリスト4月臨時増刊)に取り上げられた裁判例から、気になるものをご紹介したいと思います。

● 医学部の入試における得点調整という差別
 昨日、夫婦別姓に関する最高裁大法廷の決定が出たこともあり、まずは「医学部入試における女性差別問題」に関する裁判例を取り上げたいと思います。
 報道でも多く取り上げられていましたが、複数の大学が、医学部医学科の入試で、出願者に事前の説明なく、出願者の属性(女性、浪人生など)によって不利に扱う得点調整を行った問題です。
 東京地裁令和2年3月6日判決は、「私立大学であっても公の性質を有する」ことから「入学者の選抜に関しても、憲法やそれを受けた公法上の諸規定の趣旨を尊重する義務を負う」とし、「本件得点調整は、憲法14条1項や大学設置基準2の2の趣旨等に反するものであって、本件対象消費者との関係で違法である疑いが極めて強い」と判示しました。その後、約560名の受験生に受験料など5700万円が支払われる内容での和解が成立する見通しとの報道がなされました。

● 日本における女性医師・弁護士の比率
 日本の人口は1億2616万7千人で、うち女性は6475万6千人(51.3%)です(2019年総務省統計局・人口推計)。実は女性の方が人口多いのですね。
 医師の総数は32万7210人、うち女性は7万1758人(21.9%)です(2018年厚労省・医師・歯科医師・薬剤師統計の概況)。
 弁護士の総数は4万2164人、うち女性は8017人(19.0%)です(2020年日弁連・基礎的な統計情報)。私は「女性」で「弁護士」ですが、同じ属性を持つ人は多くはないんだな、と感じました。

● 性別役割分担という性による差別
 入試における差別について、女性医師は出産すると当直できないから人数を絞るのは合理的だ、といった意見も目にしました。その前提には、出産・子育ては女がするものだという強烈な刷り込みが見え隠れします。重要判例解説においても、解説者が「奇妙なのは、男性受験者にパートナーの『妊娠や出産』といったライフイベントがありうることの方は、いっこうに斟酌されないことである」と指摘しています。
 まだまだ根深い「性」による差別の歴史については、アメリカの最高裁判事であったルース・ベーダー・ギンズバーグが主人公の映画「ビリーブ〜未来への大逆転」や映画「RBG」もおすすめします。

 今後も、定期的に興味深い判例をご紹介できればと思います。ちなみに、北海道合同法律事務所には弁護士が19人いて、そのうち女性は4人(21.0%)です!


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