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11月8日(土)、北海道新聞の連載コーナー「憲法って何? II 集団的自衛権」に当事務所の佐藤博文が「自衛隊の人権問題に関する勉強会」で報告した要旨が掲載されました。

佐藤は、自衛隊イラク派兵差止北海道訴訟、陸自真駒内駐屯地訓練死訴訟(命の雫裁判)などを手がけました。

以下、発言要旨です。


自衛隊員の「国防軍」兵士化が進んでいる。集団的自衛権の行使を認めると、実際に戦場に行くことになる。必然的に平素から実践に備えた訓練が行われ24時間即応体制は強化される。その人権を守ることが喫緊の課題となっている。自衛隊のセクハラ、パワハラ、訓練中の負傷、自殺問題などを手がけてそう思う。

自衛隊に入る若者たちは入隊まで、家庭や学校で、人を傷つけるな、優しい人になれと育てられる。それが、自衛隊に入った途端に逆転する。営舎の集団生活の中で、日々の訓練の中で、人を殺せる人間につくり上げられていく。それは、それまでの人生の行動規範と異なるだけでなく、自らの価値観、ヒューマニズムとも異なるのが普通だ。その過程で問題が起きる。

まず、ジェンダーの問題(セクハラ)。国家試験に合格し、学校卒業と同時に、陸上自衛隊事務官になった女性がいる。公務員になれたと喜んだ。その職場の上司らが企画した歓迎会の深夜、上司から強制わいせつを受けた、として昨年、提訴した。

公務災害も多い。肺を痛め休職中の戦車部隊の隊員がいる。粉じんの中を走るうえ、大型エンジンの排ガスがひどい。

夜間大学に行けるから、と空自に入ったのに、いざ受験しようと思ったら「自衛隊を辞めるか、大学を諦めるかだ」と言われたケースがある。弁護士が交渉し、受験できたが、合格したら、また、いじめられた。

各種免許を取るため入隊した、という話は多い。ある陸自の男性は、大型特殊・けん引などの免許がほしかった。だが、受験人数に制限があり、「自衛隊に入れば免許が取れる」というのは、昔の話だとわかった。そこで退職しようとしたら、認めてくれない。

自衛隊は、自由に辞められない。いざ戦場で「辞めます」では困るからだ。だから自民党内からは、逃亡自衛官には死刑の適用も、という声が出ている。

自衛官が懲戒処分を受ける場合も、自衛隊は、司令官が決めた他の自衛官しか弁護人になれないと言う。自衛隊法施行規則に「懲戒権者は(略)隊員のうちから弁護人を指名する」とあるからだ。弁護士をつける権利を保障している憲法を、当然、優先すべきだ。

自殺は深刻だ。イラク派兵後の2004年以降、自衛隊員の自殺が3年連続、100人を超えた。

自衛隊員の人権はいったいどうなっているのか。以前、教育カリキュラムを調べたら「人権」は無かった。あったのは「しつけ」だ。

一方、ドイツは、兵士である前に市民であると、教育する。「兵士になるとは人を殺すこと。苦しんだらここへ行きなさい」とメンタルケアのシステムや、上官の法令違反、不条理な命令の是正などを求める軍事オンブズマンの制度を教える。

軍隊を持つ国は「良心的兵役拒否」「兵士の労働組合」など理論、実践でさまざまな積み重ねをしてきた。日本も、ついにそうした時期を迎えようとしている。しかし、私は、そんな国になってほしくない。

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