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北海道生存権訴訟・終結

当事務所の内田信也弁護士が北海道の弁護団長を、中島哲弁護士が事務局長を、それぞれ務め、佐藤哲之弁護士、笹森学弁護士、安部真弥弁護士、山田佳以弁護士が参加し、当事務所の弁護士が中心となって生活保護母子加算の削減廃止の取消を求めて裁判をたたかってきました(生存権訴訟)。

その結果、2009年4月に廃止された生活保護の母子加算制度が、12月に復活し、2010年4月1日に、国と原告団弁護団との間で、「母子加算については、今後十分な調査を経ることなく、あるいは合理的な根拠もないままに廃止しないことを約束する。」とする基本合意書を締結して、翌2日、北海道生存権訴訟は訴えの取り下げにより終了しました。

いったん廃止された国の制度が1年経たないうちに復活するというのは極めて異例のことであり、当事務所の弁護士を中心とした生存権訴訟弁護団の素晴らしい成果です。

以下、弁護団の声明です。

○ 北海道生存権訴訟の終結にあたって

昨日、全国生存権訴訟の原告団及び弁護団と、国(厚生労働省)との間で母子加算に関する基本合意が締結されたことにより、札幌地裁と釧路地裁に係属していた「北海道生存権訴訟」は、本日、取下げにより終結した。
北海道生存権訴訟は、「母子加算廃止」が、憲法第25条によって保障されている「健康で文化的な最低限度の生活」を侵害するだけでなく、子どもの権利条約で保障されている「子どもの成長・発達する権利」をも侵害することを強く主張して処分の取消を求めた点に特徴がある。昨年来、日本における「子どもの貧困」が憂慮すべき状態にあることが指摘されている。日本の「子どもの貧困率」は、14.3%、つまり7人に1人の子どもが貧困状態にある。そして、両親と子どものみの世帯の貧困率が11%であるのに、母子世帯では66%に跳ね上がる。日本のひとり親世帯の貧困率は、先進国の中ではトルコに次いでワースト2位という酷さなのである。
それにも関わらず、何らの対策をこうじることなく母子加算を廃止することは、「子どもの貧困」状態を更に悪化させるだけの「亡国の政策」といわなければならない。幸い、昨年8月30日に実施された総選挙によって政権交代が実現したことを契機として、昨年12月1日付で母子加算が復活し、さらに本年4月1日以降も母子加算が継続することとなったが、これは、全国で繰り広げられた国民的運動と裁判によって、厚生労働省をそこまで追い込んだ結果である。
日本の福祉政策には、子どもと高齢者に対する優しさがない。子どもには希望を、高齢者には安心を保障するのが政治の責任である。我々は、基本合意が守られ、そして老齢加算が復活するまで、全国の仲間と連帯して支援を続けることを誓う。

2010年4月2日
北海道生存権訴訟弁護団

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