北海道、札幌を中心とした法律事務所です。財務整理や民事事件など多様な法律問題の解決に取り組んでいます。

 

9条せんべいを食べながら

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 弁護士の石田明義です。

 5月下旬、紀伊半島の南部(みなべ)町というところで、日本平和委員会という平和NGOの全国会議がありました。梅の名産地ですが、土産は、現地の平和委員会メンバーのアイデアで作ったという「9条せんべい」にしました。

 「9条せんべい」の特徴は、憲法9条の条文を12枚のせんべいに分けて印しているものです。1枚1枚を読みながら1人で12枚を食べるのもいい、みんなで分け合い読みながら食べるのもいい。憲法9条を読むことは、心の栄養だけではなく、体にもいいようだ。実際、食べてみると固さや甘さもほどよく口の中に心地の良さが広がります。

 当事務所の小学生の子どもさんがいる事務員さんにあげたら、子どもさんがおいしいと喜んでもっと食べたいと言われるほどの人気がありました。小学生が親と一緒に憲法9条の条文を読みながら、あるいは憲法を話題にしながら食べるというのは、ほのぼのとした家庭の風景です。子どもたちがせんべいを食べることが、憲法9条を知るきっかけになり、憲法へ関心を持ってくれたらと思うと、9条せんべいはグッド・アイデアなものです。大人も憲法をテキストで真剣に学ぶのもいいが、食べてみて、美味しいと喜び、憲法9条いいなと語り合い、信頼や確信を広げてほしいものです。

(せんべい注文の希望者は↓)
〒640-8155 和歌山市九番町5 和歌山市教育会館内
電話073ー431ー7317/FAX073ー422ー2591
紀州・九条せんべいの会 spqcn608アットマークyahoo.co.jp
(迷惑メール防止のため「@」をカタカナ表記しております。「アットマーク」を「@」に変換してメールを送信ください。)


 突然、後半、話は変わりますが、私は「平和憲法草の根普及会」という数人のグループに関わって2004年3月に「鳩を飛ばす "いいものはいい" 平和憲法」という憲法小冊子の初版を発行し、安倍政権再登場に危機を感じで、最近新たに16版「新・鳩を飛ばす」を1千部発行し、累計2万部に達しました。希望者には無料ですが、送料のみ負担(メール便80円、大学生以下は送料も無料)で送っています。83ページの小冊子ですが、憲法の制定時の議会論戦や憲法の原点の考え、安倍政権や自民党の改憲案など現在の問題点も資料などを引用しコンパクトにまとめています。グループには元小中学校の先生が多いので分かりやすい内容になっています。実費の送料80円を送ってくれる際にカンパをくれる人もいるので小冊子の無料作成が継続できています。これも憲法9条を守ろうという気持ちを持って生活している人々が多いことを物語っているのだろうと思っています。 

 安倍政権の復活があり、鳩をまだまだ飛ばし続ける必要を感じています。

(小冊子の希望者は↓平和憲法草の根普及会)
電話/011ー785ー2622 komatsu77アットマークlapis.plala.or.jp 
(迷惑メール防止のため「@」をカタカナ表記しております。「アットマーク」を「@」に変換してメールを送信ください。)
郵便振振込口座 02730・1・93685 平和憲法草の根普及会


 安倍政権は、頑に改憲を使命としており、現憲法の個性である憲法9条を大変嫌っています。戦争放棄、軍隊不保持、交戦権否認などの特徴を削り取る予定です。9条がなくなったら個性ある日本でなくなります。自民党が狙っている改憲案には国防軍、軍事裁判所、軍事機密保護、治安維持、元首・国歌・国旗・元号、公益や社会秩序などがでてきます。集団的自衛権を認めて「戦争できる軍隊」「戦争できる国」マッチョな憲法にしたいようです。自民党の改憲案は読んで後味が悪いものです。


 日本国憲法の個性である憲法9条を守ることは、戦争をさせないこと、戦争するための無駄なことをさせないという単純な話です。4月頃から大小の憲法の学習会が広がっており、法律事務所にも講師要請が増えています。明文改憲や生活保護取り下げなど憲法に関わる制度などがテーマです。

 せんべいを食べながら静かに小冊子を読みながら、戦争を想像し、憲法9条を考えるという、素朴な精神的営みが広がることも多いに期待したいものです。

ホームロイヤー(Home Lawyer)のすすめ

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 弁護士の山田佳以です。

 近隣に「かかりつけのお医者さん」をもっている方は多いですが、医者に比べて弁護士はあまり親近感をもたれておらず、敷居が高く、できれば関わりたくないと考える方も多いのではないでしょうか。

 他方で、65才以上の高齢者は約3000万人、要介護状態の人は約500万人、1人暮らしの高齢者は約440万人にのぼるとされる今日の超高齢化社会において、高齢者が地域でその人らしく生活する上では、様々な問題に遭遇します。

 現に、リフォーム詐欺や悪質な訪問販売などの消費者被害は増加していますし、物忘れや心身の衰えからくる将来の財産管理に関するご相談や、死後の葬儀や遺言・相続等の財産処分に関するご相談をお受けすることも多くあります。

 そこで、今回は、比較的ご相談をお受けすることの多い、ご高齢の方の財産管理に関する法的制度とホームロイヤー契約について簡単にご説明したいと思います。

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【財産管理について】
 年齢を重ねるにつれ、次第に財産管理(預貯金の管理、所有不動産の管理)に不安を感じたり、体調等の悪化から金融機関に手続に行くことが困難となってしまうことがあります。しかし、安心して毎日の生活を送る上で、適切に財産を管理することは必要不可欠なことです。

 そのような場合に備えるための財産管理に関する法的制度は、主に次のア〜ウがあります。


ア 財産管理委任契約…契約を結んで財産管理等を依頼する
 財産管理委任契約とは、ご本人と弁護士が、財産管理や生活する上での事務処理(身上監護)について契約を結んで、管理等を依頼する契約です。契約を結びますので、ご本人が契約の内容を理解していることが前提になります。ですから、たとえば認知症が進んでいて、この理解ができないという場合には契約を結ぶことはできず、後述ウの「法定後見制度」を利用することになります。

 財産管理委任契約においては、契約の内容を弁護士と相談して自由に決めることができます。例えば、身上監護(定期訪問等の見守り)や財産管理、葬儀や埋葬に関する死後の事務や相続財産の管理や処分を委任することができます。具体的には、ご本人と相談の上、土地などの権利証や、預金通帳などの大事なものをお預かりして弁護士が保管することで、悪徳商法や詐欺等の被害を未然に防止するほか、毎月、ご自宅に訪問して必要な生活費をお渡しするとともに生活状況をお伺いしたり、施設や病院におられる方の場合は、施設や病院に費用を支払ったりします。高齢の両親が遠方にいて心配な場合に利用されるのもよいのではないでしょうか。


イ 任意後見契約…公証人役場で契約し、監督体制も整備
 任意後見契約は、財産管理をはじめとする生活全般に関わる事務を弁護士に委ね、もってご本人の生活全般を支援する点で前述アの財産管理契約と共通しています。また、ご本人が契約の内容を理解できることが必要である点も財産管理委任契約と同様です。

 任意後見契約の特徴は、ご本人がご自身で管理することができる間は、財産管理・身上監護は始まりませんが、ご本人自身で管理することが困難になったときに初めて、任意後見人による財産管理・身上監護が始まる点にあります。その際、裁判所が任意後見人を監督する監督人を選任します。

 財産管理契約との違いは、財産管理契約が弁護士との私的な契約であって、第三者の関与・監督が予定されていないのに対して、任意後見契約は、公正証書によって契約を締結することが必要とされること、任意後見契約の登記がなされること、任意後見人の職務を監督人及び裁判所が監督するという厳格な体制がとられている点にあります。


ウ 法定後見制度…裁判所で管理人をつけてもらう
 認知症の方や知的障害・精神障害のある方など、判断能力の不十分な状態にあるご本人について、ご本人やご家族などの申立てにより、家庭裁判所がご本人を援助してくれる成年後見人等を選任する制度です(判断能力の程度によって、後見人、補佐人、補助人が選任されます。)。法定後見制度は、精神上の障害等により判断能力が十分でない方の保護を図りつつ自己決定権の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーション(障害のある人も家庭や地域で通常の生活をすることができるような社会を作るという理念)をその趣旨としています。ですから、後見人が選任されても食料品や日用品・衣類等の購入等の日常生活に必要な範囲の行為はご本人が自由にすることができます。

 また、従前は、後見人が選任された場合は、ご本人の選挙権は剥脱されるとされていましたが、2013年5月28日の参院本会議で改正公選法が成立し、成年被後見人にも選挙権と被選挙権が認められることになりました。

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【ホームロイヤーについて】
 このように、財産管理に関する制度はいくつかあるので、ご自分にあった制度を上手に利用すれば、晩年の身上監護や財産管理のみならず、死後の葬儀等についての不安は解消されることと思います。

 他方で、特にご高齢の方の場合、損害賠償、賃貸借、破産・債務整理、消費者被害、相続、離婚、生活保護、遺言、施設契約、医療・福祉サービス、虐待など、直面しうる問題は多種多様です。
医療や介護、住まいの問題等の日常的な困り事の場合、弁護士にアドバイスを受けたいが、大した問題ではないような気がして法律事務所を訪れるのは気が引けるという方は意外と多いのではないでしょうか。

 かかりつけのお医者さんがいると安心なように、人生で起きる様々な法的問題を、決まった弁護士に気軽に相談できたらいいですよね。問題が起きるたびに、違う弁護士に一から話をするのではなく、いつも同じ弁護士に相談できるので安心ですし、ご自身の気持ち、生活、状況にあった法的アドバイスがスムーズに受けられます。また、定期的に法的アドバイスを受けることで、紛争を未然に防ぐことにもつながります。

 ホームロイヤーとは、いわば、あなたの顧問弁護士です。
 どんなことをどのくらいの頻度で相談するかは、弁護士と自由に決めることができます。

 任意後見契約を締結した弁護士とホームロイヤー契約も結んでおくと、任意後見契約が発行するまでの間、任意後見人となる弁護士といろいろな相談ができ、ご自身の意思・希望に沿った任意後見業務が実現できることになります。

 ホームロイヤーについてのパンフレットもご参照下さい。
 (ページ上部の「アップロードファイル 149-1.pdf」をクリックすると閲覧できます。)

もうすぐ誕生!子どもシェルター・レラピリカ

 弁護士の内田信也です。

1.私は、NPO法人子どもシェルターレラピリカの理事長に就任しました。「子どもシェルター」という言葉になじみのない方もいらっしゃる思いますが、これは、虐待や非行などの困難を抱え、家庭や施設に居場所を失った、14、15歳から19歳までの十代後半の子どもたちのための緊急避難所です。こうした子どもたちは、18歳未満であれば、児童福祉法上の要保護児童に該当するのですが、児童相談所の一時保護所は定員を超える満員状態ですし、思春期の子どもへの個別対応ができる体制になく、すぐに保護することができません。また、18歳以上であれば、そもそも一時保護もできません。子どもの人権救済活動の現場で、「今晩、帰る場所がない」という、子どもたちの相談を受けてきた弁護士や児童福祉関係者・市民らが危機に瀕した子どもたちの命を守りたいという願いから、2004年6月に東京で全国で初めての子どもシェルター「カリヨン子どもの家」が開設されました。以来、現在まで神奈川・愛知・岡山・広島・京都・福岡で地域色のある子どもシェルターが開設されてきましたが、この度札幌でも、一年間の準備期間を経て、本年10月から女子専用の子どもシェルター「レラピリカ」(アイヌ語で「美しい風」という意味)を開設することになりました。現在、活動スタートへ向けて、最後の準備を進めているところです。

2.東京の「カリヨン子どもの家」の創設者である坪井節子さんによりますと、これまでの8年間で、カリヨンを利用した子どもたちの数は、のべ210人を超え、圧倒的に女子が多く、避難の主たる理由は、虐待であり、抱えている困難は、離婚再婚が繰り返された複雑な家庭、親の病気、貧困、本人の心身の病、不登校、自傷行為、非行等々がいくつも重なっており、中でも、虐待の後遺症と思われる解離、うつ、パニックなどの精神症状を呈する子どもの多さに驚く・・・とのことです。
 そういう子どもが東京だけにいるわけではありません。この問題は「見ようとしなければ見えない」性質のもので、児童福祉の最前線で日夜格闘しているみなさんのお話によると、札幌にもたくさんいるのです。

3.何故、私たちは子どもの問題にみな心を痛めるのでしょうか。実は、子どもの問題は私たち大人の問題に直結するのです。子どもが健やかに伸び伸びと成長できる社会は、高齢者にとっても安心して生きていける社会に違いありません。ですから、子どもが辛い思いをする社会は、高齢者にとっても辛い社会なのです。この二つは、間違いなく共鳴している問題で、私たち自身が平等に高齢者へ向かって行くことを思えば、子どもの問題は人ごとではありません。子どもへの人権侵害は、私たち大人への人権侵害でもあるのです。そう考えると、子どもシェルターの開設は、私たち大人に課せられた使命といってよいと思うのです。

4.もっと札幌の地に引き寄せてみると、札幌には「子どもの権利条例」があるのですが その中に、8条で「安心して生きる権利」を定めています。
 (1) 命が守られ、平和と安全のもとに暮らすこと
 (2) 愛情を持って育まれること
 (3) いじめ、虐待、体罰などから心や体が守られること
 (4) 自分を守るために必要な情報や知識を得ること
 (5) 気軽に相談し、適切な支援を受けること
 子どもの権利を大切にすることは、子どもが自分の人生を自分で選び、自信と誇りを持って生きていくように励ますことです。それによって子どもは、自ら考え、責任を持って行動できる大人へと育っていきます。そういう大人たちによって私たち高齢者が安心して生きていくことができるのです。だから、私たちは子どもの問題に心を痛めるのです。単なる感傷や同情ではありません。

5.これまでの設立行為は、弁護士が中心になってやってきましたが、実際に活動が始まって子どもたちをケアして、自立へ誘うためには、医療や福祉の専門家との連携がどうしても必要です。きれいごとではすまされない、厳しい子どもたちの現実があることをいろんな人から指摘を受けて、その責任の重さにおしつぶされそうになりながら、若い弁護士たちを中心に「身の丈にあったシェルター」を目指してやっております。
 そんな子どもシェルターの趣旨をご理解いただき、みなさまのお力添えをいただければ幸いです。
 HPのアドレスはhttp://rera-pirika.jp/ (現在作成中)です。

絵本画家いわさきちひろさん

 弁護士の三浦桂子です。

 我が家では、毎年ちひろさんのカレンダーを購入し居間に飾っています。絵の中の子どもは単に可愛いだけでなく、心の揺らぎや葛藤も含めその子の内心を写しとっており、私は自分の子どもが絵の中の子どもと同じ年頃の時の姿や心のありようと重ねあわせて眺めてしまいます。

 札幌の北海道立近代美術館でいわさきちひろ展(6月2日まで)が開催され、ドキュメンタリー映画「いわさきちひろ〜27歳の旅立ち」も上映されました。
 その両方を見て、私は、独特の「にじみ」や「ぼかし」を生かした優しく美しい子どもの絵を生み出すに至ったちひろさんの画家としての苦闘、世界の子どもが平和に暮らせることを願った強い意思を感じました。
 既に17歳の時に画家としての才能を開花させていたにもかかわらず親の反対で断念し親の決めた結婚をせざるを得なかったこと、夫の自死、東京大空襲の火の中を逃げまどい敗戦を迎えたのち、ようやく自分の絵が社会の役に立つという希望を持ち27歳で画家をめざしたこと ー 27歳の自画像には、女性が自分で職業を選ぶ自由や、結婚の自由がなかった時代に対する訣別と画家として生きていく決意に満ちていました。
 松本善明さんと出会い初めて「人を愛する」という感情を持ったこと、猛君の誕生、心血注いで描いた絵本の「挿絵」が大手印刷会社に粗末に扱われることに抗議して仕事を干されても戦い、その結果、画家の著作権を勝ち取り「絵本画家」の地位を高めたこと。

 絵本は、子どものためだけでなく、大人のためのものでもあります。
 早速、しまい込んでいるちひろさんの絵本を取り出して手に取り、日々の励みにしたいと思います。                             

修習費用の給費制についてのパブリックコメントのお願い

 みなさまへのお願い

 弁護士の橋本祐樹です。
 司法修習生に対する修習費用の給費制復活を含む経済的支援についてのパブリックコメントをお願いできませんでしょうか?

 国によって1年間の司法修習(研修)を義務づけられているにもかかわらず、給料が出ず、修習のための生活費を国が貸し付けるという貸与制が導入されて、1年半が経とうとしています。すでに国から300万円の借金をした新人弁護士が誕生していますし、大学・大学院での奨学金と合わせて600〜1000万円の借金を背負った新人弁護士も少なからずいます。現在の司法修習生も、貸与制のもとで司法修習を行っています。
 貸与制のもとでの司法修習については、司法修習生の経済的困難の問題、経済的事情により法曹を目指すことを断念する者の発生の危惧、多様で有為な人材による充実した司法サービスが確保できない虞、などの弊害が指摘されています。
 そのため、司法修習生への経済的支援について、政府の有識者会議(「法曹養成制度検討会議」といいます)があるべき制度について検討を加えております。

 4月12日、法曹養成制度検討会議が貸与制を前提とした中間的取りまとめを発表しました。それは「貸与制」を前提に、「更に検討する」というのみであり、上記のような弊害を克服するための具体策は提示されませんでした。
 そこで、この中間的とりまとめに対して、市民の声を聞く意見公募手続(「パブリックコメント」といいます)が重要となってきます。
 一人でも多くのみなさまに、パブリックコメントにおいて、「給費制」の復活を求める市民の意見を出していただきたいのです。締め切りは5月13日までです。

 パブリックコメントの提出方法は簡単です。以下のURLの「意見提出フォーム」から、直接意見を出すことが可能です。なお、氏名・住所・職業についての記載はしてもしなくても構いません。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300070017&Mode=0

 何を書けばいいのか思案中の方、私が北海道支部の代表をしているビギナーズ・ネットのHPにも特設ページがございます。こちらもあわせてご覧下さい。
http://www.beginners-net.org/#!publiccomment/c22bv

 GW前後でお忙しいと思いますが、権利の守り手を育てるために今が非常に重要な局面ですので、ご協力をお願いした次第です。
 ご家族、ご友人にも広く周知等していただき、一人でも多くの市民の声を発信していただきたいと思います。
 ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。

公契約条例の制定に向けて

 弁護士の渡辺達生です。

 皆さん、「公契約条例」という言葉をご存知でしょうか?
 私は、ここ数年、貧困問題への関わりを深めていますが、その関係で、ここ1年、札幌市の公契約条例の制定を目指す運動に関わっています。日本弁護士連合会で、私も関わって、公契約条例についての判りやすいリーフレットを作成していますので、公契約条例が何かについては、まずは、そちらをご覧ください。
 リーフレット:http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/committee/list/data/leaflet_koukeiyaku.pdf
 このリーフを見ていただければ、良くお分かりいただけますが、低価格競争により、委託費が低下し、労働者の賃金も低下し、行政サービスの質も低下し、ひいては地域経済全体が沈滞するという悪循環に対し、ストップをかけるのが公契約条例です。公契約条例は、適正な委託費を確保し、労働者にも適正な賃金を支払い、行政サービスの質も向上させ、ひいては地域経済全体を活性化させるというものです。一言でいえば、自治体の「反貧困宣言」と言えるものです。巷では、安倍のミックスによる景気の回復が言われていますが、公契約条例は、デフレの大きな原因の一つである労働者の賃金の低下にストップをかけるものであり、私としては、安倍のミックスより遥かに景気の回復に有効であろうと思っています。
 札幌弁護士会の会員でもある札幌市の上田市長は、3期目に入った2011年度から公契約条例の制定に具体的に取り組んでいます。札幌市は、2012年2月、第1回定例市議会において、「札幌市公契約条例」を提案しましたが、業界団体の反対等が強く、1年以上に渡り「継続審議」が続けられ、現在も制定には至っていません。
 継続審議が続くことは到底、納得できず、お話したいことは沢山あり、ここには書ききれませんが、今後も、私は、公契約条例の制定に向けて取り組みを強めていきます。私は、札幌市公契約条例の制定を求める会(反貧困ネットワーク北海道、連合北海道札幌地区連合会、札幌地区労働組合総連合等の団体と弁護士で構成)の事務局長を務めており、求める会の活動を逐次、ホームページのトピックスに載せていきます。皆さん、是非、ご注目ください。

再審の手続

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 (駿府城の水面に舞う桜吹雪)


 弁護士の笹森学です。

 現在、私の唯一の本州出張事件は「袴田(はかまだ)事件」という再審請求事件で、静岡地裁で行われています。
 袴田事件はこのコラムでも何回か報告していますが、今回は<再審の手続>について分かり易く説明してみたいと思います。
                             ■
 「再審」とは、裁判をやり直すことで、刑事事件では間違った有罪判決を正す手続です。間違った有罪判決を正すということは裁判所がひとたび決めた判決をひっくり返すということです。
 日本の刑事裁判は基本的には三審制で、地裁、高裁、最高裁と3回裁判を受けられます。受け終わると刑事裁判の判決が「確定」します。確定するとは、裁判所が、誰かが犯罪を犯した事実があったと決めたうえ、その者の刑を決めたことが「誰にも動かせなくなる」ことです。
 それをひっくり返すのですから、再審をするための条件は厳格です。
 まず、再審の裁判を開くことを決めてもらわなくてはなりません。これを「再審開始を請求する」と言います。
                             ●
 再審開始の請求が認められるには、大別して2つの場合があります。
 1つ目は、裁判に関わった警察や検察に証拠偽造などの不正がありそのことが裁判で確定されたような場合です。
 2つ目は、常識的な一般人が合理的に考えて、確定判決が間違っているのではないかと疑わせる新しい証拠を発見できた場合です。ほとんどの再審請求は、この2つ目のやり方で行われます。この場合が「有罪の判決を受けた者に対し、無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したとき」(刑事訴訟法435条6号)です。一般には「新証拠が発見できた場合」と呼びます。
 再審請求を受けた裁判所が、新証拠が発見できた場合と認めると、「〜が言い渡した有罪の判決につき、再審を開始する」との決定を下します。
 この決定に対しては、有罪の判決を受けていた者または検察官が基本的には高裁へ即時抗告、最高裁へ特別抗告することができます。結局これまた3回裁判が行われ、「再審開始」の決定が「確定」すると、ようやく「再審の裁判」が開始されることになります。
                             ▼
 そして、再審の裁判は「確定した判決が言い渡される直前」から再び審理が始められることになるのです。
                             ★
 「袴田事件」は、袴田巌さんという元日本ランカーのプロボクサーが、1966(昭和40)年6月に静岡県清水にある味噌会社で専務一家4人を小刀で刺し殺して現金を奪い火を放ったとして起訴された住居侵入・強盗殺人・現住建造物放火事件です。袴田さんは警察で連日十数時間にも及ぶ厳しい取調べを受け、寝るために一旦床に入ったが起きてパジャマで犯行に及んだ、との自白をさせられました。ところが翌年8月、工場の味噌樽から血染めの「5点の衣類」(白半袖シャツ、緑のブリーフパンツ、ステテコ、スポーツシャツ、鉄紺色ズボン)が発見され、検察官はこれが犯行着衣だとして主張を変更、静岡地裁はパジャマで犯行に及んだとする袴田さんの自白調書45通のうち44通を信用できないとして証拠から排除しながら、死刑判決を下しました(白半袖シャツの破れた右肩部分にB型血痕が付着しているのは犯行時の格闘で生じた袴田さんのものでシャツは袴田さんの物との大きな根拠とされています)。高裁ではズボンを履けませんでしたが、袴田さんが太りズボンが縮んだとして死刑は維持され、最高裁でも5点の衣類は袴田さんの物として死刑が確定しています。
                             ▲
 袴田さんは精神を病んだため、現在、姉の袴田ひで子さんを保佐人として第2次再審請求をしています。
 今回の再審請求では、血染め5点の衣類について2人の法医学者によるDNA鑑定が実施されました。弁護側推薦の鑑定人は5点の衣類から発見されたDNAは袴田さんのDNAではなかったとしました。検察側推薦の鑑定人も半袖シャツの右肩血痕部分のDNAは袴田さんの DNAではなかったとの結論を出しています。
弁護側では袴田さんの犯行を疑わせる新証拠だと主張して、引き続き証拠調べや証拠開示を求めています。検察側はDNAの鑑定結果は「再現性のない」(2度と同じ結果を出せない)もので証拠価値はないと反論しています。
                             ♥
 私は、2人の鑑定人を尋問し、DNA専従弁護人2人と協力して100頁を超えるDNA鑑定の結果についての「意見書」を作成しました。2人のDNA鑑定結果は新証拠にあたるとするものです。3月28日に静岡入りし、29日の昼まで意見書の最後の仕上げをして、夕方に記者会見をして来ました。
 静岡地裁は駿府城址外のお濠端に建っています。城址内のお濠端には大きな枝を伸ばした桜が並んでおり、当日は桜吹雪がお濠の水面を覆って、とても素敵な光景でした。
 さて、再審請求は「桜咲く」なのか「花と散る」のか。私の胸は張り裂けそうです。

奨学金〜返せないときの手段〜

 弁護士の橋本祐樹です。奨学金問題、第4部です。

 奨学金の返還が困難なときは、返還期限の猶予、返還免除、延滞金の減免、減額返還制度等があります。

 返還期限の猶予は、病気等や経済的困難性を要件とし、通算で5年しか認められません。また、延滞状態の解消をしないと利用できない等の制限もあります。

 返還免除については、死亡、労働能力の喪失等の返還を困難とする事情が必要となります。

 延滞金の減免は、「真にやむを得ない事由」が必要です。責任がないのに延滞金が発生した場合や、死亡や障害がある状態で、機構が認定したときに認められます。

 減額返還制度はも経済的困難性を要件としていますし、延滞状態の解消をしないと利用できない等の制限もあります。

 以上のような諸制度がありますが、いずれも要件が厳格なうえ複雑で、利用するにはハードルが高いです。そのうえ、そもそも、このような制度があることについて周知が不徹底であり、要件を満たす人でも知らないまま返し続けるということもあります。
 これらの制限は緩和されなければならないと思います。

 以上の制度を利用できない場合でも、債務整理をすることが可能な場合があります。

 これまで見てきたように、現在の学費と奨学金が原因で、若者の人生設計を困難にし、志がある若者が経済的理由で夢を追いかけるのを断念するというような状況を生み出しています。
 今後あるべき方向性は、学費の無償化と給付型奨学金の導入であることは間違いありません。「先進国」と呼ばれる国々が加盟するOECD加盟30か国のうち、約半数は大学授業料が無償化されていますし、約9割の国で給付型奨学金が導入されているのですから。大学授業料が無償でなく、かつ、貸与型の奨学金を導入しているのは、30か国で、日本だけなのです。

 貸与型奨学金を前提として、返済困難な方の救済、貸与型を前提とした制度改善を目指しつつも、最終的には、学費の無償化と給付型奨学金の導入が何より必要だと思っています。
 このような目標の下、奨学金問題に取り組んでいきたいと思っています。

奨学金〜返したくても返せない〜

 弁護士の橋本祐樹です。奨学金問題、第3部です。

 日本学生支援機構の奨学金は、従来の日本型雇用を前提としています。企業の業績は右肩上がり、終身雇用で給与も右肩上がり、というモデルです。
 しかし、現在、非正規雇用の割合が増加していますし、正規雇用であってもブラック企業に就職してしまったりして心身を壊し退職したり、リストラされたりと、雇用は不安定になっています。

 このような場合、低賃金であったり、賃金を失ったりすると、奨学金を返そうと思っても返せない状態が生じます。
 では、奨学金の返済を延滞するとどうなるでしょうか。

 まず、奨学金を延滞すると、延滞金がつきます。これは元本に対して年利10%です。延滞金が発生した後、返済を再開した場合、延滞金→利息→元本の順に充当されます。ですから、元本の10%以上の返済ができなければ、永遠に延滞金ばかりを払い続けることになり、一向に元本は減らないままになってしまうのです。

 延滞が3か月になると、延滞者情報が個人信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に登録されます。ブラックリストに登録されると、ローンやクレジットカードの利用が困難となり、将来設計に影響が出てしまいます。そして、ブラックリストに登録されると、返し終えても、5年間は情報が残ってしまうのです。2012年5月の時点で、1万2000人を超える登録者がいます。

 延滞が4か月に至ると、日本学生支援機構は、延滞債権の回収をサービサーに委託します。「奨学金」という学ぶためのお金、高等教育を支える資金が、一気に「普通の債権」として回収されることになります。2011年度では約7万件がサービサーにより回収されています。

 延滞が9か月に至ると、支払督促の申立が行われます。裁判所から書面が送られてきて、裁判所の手続に引っ張り出されます。支払督促の件数は、2000年に300件あまりだったのが、2011年には1万件を超えるなど、激増しています。

 このように、教育の機会均等のための資金という「奨学金」の性質を無視した、有無を言わさない回収強化策が採られており、返したくても返せない若者を苦しめているのです。

 では、返還が困難なとき、どうすればいいのでしょうか。その方法についてはto be continued…

奨学金〜借りたくなくても借りざるを得ない〜

 弁護士の橋本祐樹です。奨学金問題、第2部です。

 大学の学費は、とても高いです。
 1969年に入学金が4000円、授業料が1万2000円だった国立大学は、1979年には入学金8万円、授業料14万4000円となり、以降ぐんぐんと高騰し、2010年には入学金28万2000円、授業料53万5800円になっています。
 私立大学も、1969年の約22万円から、2010年の120〜150万円へと高額化しました。

 他方、家計の収入は、ここ10年だけでも約100万円下がっています。2009年の世帯収入の中央値は、約438万円でしたから、これで前述した高額の学費を賄うのは困難ですし、仕送りも多くは期待できません。

 このような背景から、奨学金を利用することは、今の学生にとっては当たり前のことであり、奨学金利用者は、大学生で50%を超え、大学院生では60%にもなります。

 そんなにカネがかかるんなら、無理に大学なんて通わないでいいではないか、と思われる方もいると思います。
しかし、高卒者への求人は圧倒的に不足しています。1992年に168万件あった求人は、2010年には20万件に落ち込んでいます。
就職希望者の17%しか正社員として就職できないのです。すなわち、就職できないから、進学をせざるを得ないのです。

 大学在学中、月額5万から12万円の有利子貸与「奨学金」を借りられますが、例えば月額10万円を借りると、利息も含めて、返済総額は約645万円になります。月額2万7000円の返済を続けて、返し終わるまで20年かかります。卒業後すぐ返済を開始しても43歳になります。その間、結婚、出産というイベントがあり、返し終わったころに、子どもの奨学金の連帯保証人になることもあるというスケジュールです。

 では、予定通りに返し続けられない場合はどうなるでしょうか。
リストラ、病気での退職、返し続けられない要因はたくさんあります。
 返済が遅れた場合については、to be continued…