北海道、札幌を中心とした法律事務所です。財務整理や民事事件など多様な法律問題の解決に取り組んでいます。

 

日弁連の人権大会の調査でフランスに行ってきました。

 弁護士の渡辺達生です。

  1 弁護士の使命は、弁護士法に規定されているように、人権の擁護と社会正義の実現ですが、弁護士会として取り組む人権擁護活動の最も大きなイベントが、日弁連の人権大会です。今年の人権大会は、10月3日・4日に広島で開催されます。3つの分科会でシンポジウムが行われるのですが、第3分科会では、『「不平等」社会・日本の克服ー誰のためにお金を使うのかー』というテーマでシンポジウムを行います。私は、この第3分科会の実行委員となっています。
 6月22日から30日にかけて、第3分科会の実行委員会のフランス調査に、私も参加してきました。


  2 フランスは、ドイツに次ぐEU第2位、世界でも第5位の経済大国です。不平等社会の克服を考えた場合、福祉国家を想定しますが、スゥエーデン、ノルゥエー、デンマークといった北欧の国々は人口が1000万人に満たない小さな国ですが、経済大国の福祉国家という意味で、フランスはきわめて興味深い国です。
 また、フランスは、2007年には、アメリカ流市場主義を標榜する国民運動連合のサルコジが大統領になりましたが、2012年には、社会党のオランドが大統領になり、年収が100万ユーロ(約1億円)を超える個人の富裕層に対し、最大75%の税率を課す特別貢献税を導入しようとしています。


  3 調査先は、役所関係、市民団体、労働組合等13に及びますが、ここでは、私が深く印象にのこった2か所を紹介します。

① ONPES(貧困と社会参入観測所)
 ONPESは、貧困にかかわる様々な社会的な問題を調査・研究する国の機関です。公的な統計に加え、民間団体からのデータも広く集積し、貧困の実態についての独自性をもった総合的な分析を行い、集約した情報を政府、議会、公共(市民)に配信しています。この報告が政府に対し、大きな影響力を与えることも少なくありません。

 対策を立てるにしても、まず、情報を収集し分析することが必要ですが、貧困問題について、フランスでは国家がそれをやっていうるのです。日本では、民主党政権になるまで、貧困問題の調査をほとんど行っていませんでしたので、日本とは全く違います。

② DAL(住宅への権利)
 DALは,1990年に設立した市民団体で、住宅困窮当事者の救済と「住宅への権利」の発展のために,住宅困窮当事者とともにスクワット(占拠)や裁判闘争を行っています。

 スクワットとは、建物(主に、国や会社が使用していない建物)を占拠し、貧しく屋根のある住居のない人たちに対し,そこを一時的な住居として提供することです。このようなことを日本でやると、住居不法侵入で逮捕される、あるいは、民事裁判で明け渡しを命じる判決が出され、強制執行を受けるということになりますが、フランスはそうはならないのです。

 住宅を確保することは、人が人間らしく生活する上で極めて重要なことですが、フランスでは、法的な権利として住宅の権利を保証しており、それを具体化する様々な施策が進められています。一例をあげると、上記のとおり、建物を占拠したとしても、正当な理由があれば、それが刑事罰の対象となることも、所有者による明け渡しの裁判が認容されることが無いのです。しかも、この正当な理由は、占拠している人を基準に、その人に他に住む家がなく、ここに住まなければ野宿をせざるを得ない等の事情があれば、認められるのです。その背景には、住宅として使えるのに使われていない建物が単に値段をつり上げるために寝かされており,他方で,無数の人たちが屋根のない生活を強いられていることが不正義であることや、国際的な人権法の発展の中で、屋根のない場所で野宿をせざるを得ないことは、人道に反する権利侵害であること等が、社会の共通認識になっています。

 DALによるスクワット活動が、契機になり、裁判上、このような権利が認められ、それが立法につながっています。それが、DALO法です。この法律は,やむを得ざる状況が生じているために占拠を行っていることを証明できる場合に,空き家の占拠に正当性を与える法律であると共に、国に対し、住居の提供を義務付ける法律でもあります。DALO法に基づき、申請をすれば、国は、住居を割り当てなければならず、その旨の判決を出すこともできます。

 法的な細かいことはまでまだ調査ができていませんが、日本では法的にあり得ないことが、フランスでは法的に認められていることが非常に新鮮でした。また、市民の運動が社会的に認知され、そこから法的な権利が作られるということが、このような市民法の場面であることも、非常に興味深いことです。
                            

札幌市公契約条例制定を求める請願署名へのご協力をお願いします!

 弁護士の渡辺達生です。

 4月に、このコラムに「公契約条例」のことを書きました。
 公契約条例は、地方自治体の発注する事業を受注する業者が労働者に適切な賃金を支払うことを義務付ける条例です。地方自治体の発注する事業を低価格で受注することによって、そこで働く労働者に貧困問題が生じており、“官製ワーキングプア”と呼ばれております。公契約条例は、この問題をなくすきっけけになります。
 詳しくは、こちらのコラムをご覧ください。
 /news/archives/139.html


 「札幌市公契約条例の制定を求める会」では、公契約条例の制定を求める10万人署名に取り組んでいます。
 取り組みの意義については、こちらのお願い文をご覧ください。
 http://www.hg-law.jp/file/130809%20koukeiyaku%20onegai.pdf
 公契約にかかる競争入札をめぐる課題についてもわかりやす解説をしておりますので、こちらもぜひご覧ください。
 http://www.hg-law.jp/file/130809%20Koukeiyaku%20kadai.pdf
 

 請願の趣旨に賛同いただける方は、たいへん恐縮ですが、署名用紙をダウンロードしていただき、私まで署名用紙をご郵送いただけると幸いです。
 http://www.hg-law.jp/file/130809%20koukeiyaku%20syomeiyoushi.pdf
 よろしくお願いいたします。

給費制廃止違憲訴訟ついに提訴!

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 弁護士の橋本祐樹です。

 以前、このコラムでも「司法修習費用の給費制についてのパブリックコメントのお願い」という形で、司法修習生の給費制の復活を求める活動について、少しご紹介させていただきました。
 今回は、司法修習費用の給費制が廃止され、給与が与えられないまま1年間の司法修習を義務づけられたため(修習に専念する必要から、アルバイト等はできません)、生活費をまかなうために国から約300万円の借金をしながら司法修習を終了した元司法修習生(昨年12月に弁護士登録した現在1年目の弁護士たちです)が、国に対して提訴をしたことをご報告致します。
 8月2日に提訴したのは、東京(原告118名)、名古屋(原告45名)、広島(16名)、九州(32名)の4地裁です。この原告というのは、全て昨年12月に弁護士登録した現在1年目の弁護士たちなのです。代理人は全国で463名が名を連ねています。

 その名も「給費制廃止違憲訴訟」です。
 報道では、前年までの司法修習生との差別で平等権を侵害するということのみが伝えられていますが、もう少し深い内容があるので、少しややこしいですがご説明します。
 まずこの訴訟は、法曹三者を一体的に養成する統一修習が、国の人権擁護義務及び憲法擁護義務(憲法11条、13条前段、97条、99条)に基づく憲法上の要請として実施されていることを前提に、司法修習生が公務員に準ずる地位にあり(憲法15条1項、2項)、司法修習の目的達成上不可欠のものとして修習専念義務を負っていることからスタートします。
 その上で、憲法上の権利として、司法修習生の給費を受ける権利というものを構成します。この司法修習生の給費を受ける権利は、①給費制が国民の権利擁護のための統一司法修習及び修習専念義務と不可分一体な国の憲法上の義務であること(憲法第3章及び第6章)、②司法修習生の修習専念義務による権利制約及び修習専念のための経済的生活保障であること、③法曹になるという人格的選択をした司法修習生が生活を維持しながら司法修習に取り組む権利として、憲法13条後段、21条1項、22条1項、25条1項、27条1項により保障されるのです。
 しかしながら、1年間無給で修習をし、すでに法科大学院で平均340万円の奨学金による借金があるにもかかわらず、さらに約300万円の借金を負わされ、年老いた親や弟妹に連帯保証人を頼まざるを得なかったのであり、司法修習生の給費を受ける権利が侵害された実態があるのです。
 そこで、国による給費制廃止と原告らの司法修習にあたり給費制廃止の弊害が実際に生じているのに給費制を復活させなかった不作為が違憲違法であり、国家賠償法に基づき請求をするのです。本来なら、給費制であれば得られたであろう給費請求相当額と慰謝料として300万円以上の請求をするべきなのですが、この訴訟では、原告らは自身の救済のみならず法曹の公共的・公益的使命を自覚し本訴訟に参加しています。法曹の公共的・公益的使命という観点からすると、本訴訟は約300万円などという金額以上の価値を有するため、請求において金銭的な意味を排除すべく、一人当たり1万円の請求をしました。

 この訴訟の意義は、司法修習生への給費制が国民のための司法を担う法曹養成が国の憲法上の義務であることを確認し、新第65期司法修習生であった原告らの被害回復にとどまらず、法曹の多様性確保のため志ある人材が経済的事情で法曹を断念することのないようにし、国民の人権擁護を担う司法制度の維持発展を目的とするものです。
 平均600万円以上の借金を背負った新人弁護士が、慣れない仕事の終わった後、ボスの帰ったあとに訴状の起案をしました。そして何度も会議をもって57ページの訴状に仕上げました。自らの利益のみならず、法曹を目指す者のため、広く国民のため、人権が尊重される司法制度のためという目的を忘れることなく準備した新人弁護士は非常に尊敬できます。
 訴訟と社会運動は、車の両輪です。このような新人弁護士を法曹界全体が支持し、世の中に向けて、給費制の意義、給費制廃止下での司法修習の実態についてご理解いただけるようにしないといけないと思います。

 私も、給費制廃止違憲訴訟弁護団の一員として、給費制が復活するまで、新人弁護士とともにがんばっていこうと思います。
 一人でも多くの市民のみなさまのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
 

第23回参議院選挙を終えて・・・いま私たちは何をなすべきか。

 弁護士の佐藤博文です。

 参議院選挙の投開票が21日に行われました。皆さん、どんな思いで投票されましたか。その結果をどう受け止めていますか。私は、これからの3年間(昨年末の総選挙での自民党圧勝により4年間解散がない可能性あり)は、日本国憲法の下で培われてきた日本社会の民度が最も試される時期になると、覚悟を決めました。

1. TPP交渉参加問題でも、原発問題でも、消費税増税問題でも、憲法改正問題でも、雇用・賃金問題でも、どの世論調査からも自民党政権の政策に対する反対あるいは批判が過半数を占めているのに、選挙権を行使した人が少なく(投票率は52.61%)、そのうえ少数世論にすぎない政権与党が圧勝しました。
 民主主義の観点からは、国民世論が国会に鏡のように反映されるべきです。そこで大いに議論し、合意を形成するのが民主政治の神髄であり、理性による政治というものです。ところが、「ねじれ解消」と言われ、数の力によって少数意見を切り捨て、しかもそのスピードを求める議論は、民主主義を「多数決主義」に歪曲し、個人の尊重に基づく「立憲民主主義」に反するものです。
 このような民意と議席とのギャップを生み出している大きな要因が、昨年の総選挙でも顕著になった「小選挙区制」です。この解消が緊急の課題になっていると思います。

2. 日本の政党には世界のどこの国にもないほど多額の税金が交付されていることをご存じですか。政党(日本共産党を除く)は、有権者に財政的な負担を求める努力をせずに、議席が与えられるのです。以下に、今回の挙結果と、政党交付金の配分を一覧表にしてみました。皆さんは、どう思いますか。
 これでは有権者と政党との間に緊張感と責任感のある「委任関係」は生まれません。支持もしていない人からお金を取るのは、政党としては強盗の論理に等しく、有権者からすると思想信条の自由に対する侵害です。政党は、支持者に活動資金の拠出を訴えそれによって活動してこそ、有権者が言うべきことを言い、政党は責任を果たそうとするという正しい関係が生まれるのではないでしょうか。

3. 今回の選挙で、「明確な改憲勢力+政権与党の公明党」の議席数を見ると、163議席(67.4%)国会の発議要件である3分の2をギリギリ超えました。憲法改悪が「紙一重」のところに来てしまいました。日本維新の会の石原代表は、「今回の選挙で憲法改正に道筋を付けることができた」とコメントしています。悔しいですね。
 国民主権と徹底した人権保障、恒久平和主義を謳う日本国憲法を守り、その憲法に基づいた政治を実現するために、腰を据えた闘いがこれから待っています。

  
[今回の選挙結果と政党交付金]
                  今回  新勢力  政党交付金(2013年度)
政権与党     自民党    65  115  145億5053万円
           公明党    11   20   25億5791万円
みんなの党             8   18    17億8950万円
日本維新の会            8    9   27億1578万円
民主党               17   59   85億3402万円
日本共産党             8   11   政党交付金の廃止を求め受領拒否
生活の党               0    2    8億1605万円
社民党                1    3    5億4104万円
新党改革              ー    1    1億2468万円
みどりの風              0    0    1億3879万円
諸派(沖縄・糸数慶子)      1    1
無所属                2     3


[参議院の勢力と憲法改正発議要件3分の2との関係]
改憲発議に必要な参議院3分の2    ⇒ 162議席/総議席242 
改憲勢力  自民・みんな・維新・改革  ⇒ 143議席(59.1%)
               +公明党    ⇒ 163議席(67.4%)
                  +民主党 ⇒ 222議席(91.7%)

いよいよ投票日です!

 弁護士の池田賢太です。

 いよいよ7月21日が近付いてきました。何の日かお分かりですよね。
 そう、参議院議員選挙の投票日です。

 皆さまのお手元に、当事務所の事務所報「北の峰」2013年夏号は届きましたでしょうか?憲法特集号と題して、各弁護士が「暮らしの中に根付いている憲法」について考えてみました。
 これがなかなかの好評で、追加で送付してほしいという嬉しい声も届いています。

 報道によれば、安倍首相は、選挙情勢の報道に気を許してか、再び憲法改正をとくに将来の9条改正を口にしています。
 早稲田大学の水島先生は、「憲法は、過去の記憶を記録して記述したものだ」と仰います。現憲法の9条は、まさに2度の世界大戦の惨劇を忘れまい、二度と起こすまいという決意を記録し、記述したものだと思います。だからこそ、日本国民だけではなく、「全世界の国民が、等しく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認」したのです。

 憲法は、国のあり方を決める基本的なルールです。そこには、このような国を作りたい!という理想が掲げられています。
 理想は、時代によって変質するのでしょうか。現実にそぐわないと言って、理想を変えるのでしょうか。現実にそぐわないからこそ、理想を高く掲げ、それに向かって努力を続けるのではないでしょうか。

 今回の選挙の後、衆議院の解散がなければ、3年後の参議院選挙まで国政選挙はありません。まさに、今回の選挙は今後の日本の方向性を決めるとても大切な選挙です。
 皆さんの1票は、皆さんが思っている以上に貴く重みのある1票です。棄権することなく、皆さんの思いを託して、その1票を投じて頂くことを強く願います。

※ 北の峰の2013年新春号・夏号は、いずれも、ホームページでのアップ準備作業中です。近日公開予定ですので、お待ち下さい。

国籍を超えて

 弁護士の安部真弥です。

 私は愛知県出身で、高校卒業するまでの間は、愛知の実家で生活していました。
 実家の裏通りには小さな平屋の工場があり、そこの工場で働く人やその家族が、工場の向かいに家を建てて暮らしていました。
 とても不思議な作りの家で、外から見ると、トタン屋根の大きな一つの家のようなのですが、中に入ると小さな家々に別れており、狭い路地のようなコンクリートの通路で家々がつながっていました。家々の玄関は別々です。
 実家同士が近所ということで、私はそこに住む年齢の近い子ども達とよく遊びました。特に同じ歳のHちゃんとは仲が良く、いつも一緒に遊んだ記憶があります。

 小学校高学年になった頃だったか、Hちゃんから、今まで隠していたけど言わなければならないことがあると言われました。聞くと、Hちゃんや、工場の人達はみんな、日本人ではなく、Z国の国籍だということでした。
 当時子どもだった私は、外国人だなんてかっこいい!くらいにしか考えていませんでしたし、HちゃんはHちゃんなので、日本人ではないと聞いても全く気にもしませんでした。

 その後、高校が別々になったことや、Hちゃんが引っ越したこと、私も北海道にきてしまったことなどで、Hちゃんとは疎遠になりましたが、数年前、私の母がHちゃんのお母さんと偶然出くわしたそうです。
 Hちゃんのお母さんいわく、Hちゃんは、Z国籍ということで、就職も結婚もとても苦労しているということでした。

 確かに、HちゃんはZ国籍ですが、日本で生まれ、日本で育ち、日本語しか話せません。Z国には行ったこともないと以前言っていました。
 日本の教育しか受けていないのですから、考え方なども、まるきり日本人です。なのに、日本国籍ではないというだけで、就職などで差別され、苦労しているのです。

 確かに、外国人の人権は難しい問題です。
 しかし、国籍だけで人を判断することが正しいことだとは、到底思えません。
 国籍という垣根をたやすく越えて仲良くなれる子ども達を見習い、私達大人も、本当の意味での人を見る目を養っていきたいものです。

「みんなでしゃべってかんがえよう!ショウガクキンってどーゆーもの!?」を実施しました

 弁護士の橋本祐樹です。

 先日、池田賢太弁護士からも事前のお知らせがありましたが、七夕の7月7日、「みんなでしゃべってかんがえよう!ショウガクキンってどーゆーもの!?」という名の学費問題と奨学金問題についてざっくばらんに話し合うイベントを実施しました。

 日曜日のお昼という時間でしたが、約50名の来場者を迎えて、イベントを成功させることができました。参加者は、当事者の大学生、大学院生をはじめ、これから大学進学を目指す高校生、大学教員、弁護士、司法書士、一般市民と幅広いものでした。年齢層も10代から60代と世代を問わず、関心を呼ぶものだったと感じています。

 ワールドカフェ形式で行った対話は、非常に活発に行われました。ワールドカフェ形式とは、カフェのようなリラックスした雰囲気で、討論でもなく、結論を求めるでもなく、傾聴と対話を通じて一緒に世界を創っていくという方式です。
今回は、
① ショウガクキンって聞いて何を連想する?
② 日本の高等教育にかかるお金(学費) 何が問題でしょうか?
③ お金がない人でも!安心して高等教育を受けることができるようにするために
  ・・・どうしたらよいのでしょうか?
④ 奨学金「問題」の現状を改めるために・・・どうしたらいいのでしょうか??
という4つのテーマについて、対話をしました。

 これらのテーマに沿って、全ての参加者が、年代も経験も関係なく、思い思いに自分の感じている疑問や考えていることを積極的に話すことができたと思います。様々なバックボーンをもつ人々との対話を通じて、これまで考えていなかったことに気づいたり、これまで「自分の問題」と思っていたことを他の人も悩んでいるということを知ったり、新たな発見があったようです。
このような多様な参加者による明るい雰囲気の中での熱心な対話の様子は、翌日のNHKニュースでも報道がされ、毎日新聞でも一部記事になりました。

 まずは実情を話して、問題意識を共有する。そして、「自分だけの問題ではない」と気付いてもらうこと。今回のイベントは、そのとっかかりにはなったのかなと思います。
 このイベントの運営には、学費と奨学金問題に関心を持つ学生さん達も積極的に関わってくれました。これからも、学生さん達と協力しつつ、当事者の視点で、この問題に取り組んでいこうと思います。

 奨学金の問題は、決して奨学金だけの問題ではありません。学費の問題であり、国が次代を担う人材をどのように育てるのかが問われています。いまはまだ問題の根深さにおののき、どのような問題が横たわっているのかを一つひとつ確認する作業をしている段階です。
 もし、このコラムを読んで下さった方の中に、奨学金で困っている方や日本の教育政策に疑問をお持ちの方がおられれば、どうぞお気軽にお声をかけて下さい。皆さんの疑問の中に、解決の糸口が見つかるかもしれませんから。

憲法のこと、一緒に考えてみませんか②

 弁護士の香川志野です。

 7月3日のコラム(/news/archives/153.html)の続きです。
  
 憲法は、法律よりも遠い存在だと思っている人はいませんか。
 憲法は、わたしたちの毎日の暮らしに深く結びついています。

 例えば、前回のコラムでも触れた自民党の憲法改正草案では、表現の自由の保障を定める規定の後に、新しく、「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。」という規定が追加されています。
 「公益」や「公の秩序」とは何なのでしょうか。
 憲法を簡単に改正できるようになってしまったら、こんなコラムを書くことさえ、許されない日がくるのでしょうか。

 改憲草案は多岐にわたっていますので、もう1つだけ。
 「家族は、互いに助け合わなければならない」という規定を、どう考えますか。
 これまでにはない規定ですが、思わずうなずいてしまう人もいそうです。
 しかし、国民がお互いに助け合う義務を強調していくと、国の責務である生存権の保障(社会保障制度の充実など)を後退させてしまう危険性があります。

 憲法のこと、もっと一緒に考えてみませんか。

★ 当事務所では、多数の弁護士が、様々な学習会・講演で講師をしています。
★「北の峰」2013年夏号では、憲法を特集しています。

「ショウガクキンってどーゆーもの!?」開催のお知らせ

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 弁護士の池田賢太です。

 今日は、香川弁護士の合間を縫って、奨学金問題について、お話ししようと思います。

 当事務所のコラムでは、橋本弁護士が連載を組んでいますので、ご存じの方も多いと思いますが、奨学金問題は、新聞等様々なメディアで報道をしていただいたことにより、少しずつ社会問題として認識されるようになってきました。

 しかし、この問題を、ご自身の問題としてとらえている方は増えたのでしょうか。新聞やテレビで取り上げられる「問題」といえるケースは、本当に大きな「問題」を抱えています。その反面、「自分のケースはあそこまでいかないから、自分ががんばればなんとかなる」というように、「自分だけの問題」としている方が多いのではないでしょうか。

 そこで、色んな背景をもつ人が、お互いに質問をしたり、話し合ったりして、問題点を共有できる場所を企画しようと考えました。多くの人が小さな社会問題を発見できると思います。「自分だけの問題」だと思っていたものが、実は、同じようなことで多くの人が悩んでいたとわかれば、少し気が楽になるかもしれませんし、あるいは、悩みを解消するための方法を一緒に考えることができるかもしれません。
 
 私たちが加入する「奨学金問題対策全国会議」と、札幌の学生さんが立ち上げた「北海道学費と奨学金を考える会」は、2013年7月7日、『ショウガクキンってどーゆーもの!?』という奨学金についてのイベントすることにしました。みんなでコーヒーを飲みながら、お菓子を食べながら、「ショウガクキン」という答えの決まっていないテーマについて、ざっくばらんに話をしようじゃないか!という企画です。
 また、当日は七夕ですから、笹と短冊を準備して、奨学金についてのお願い事を記入することもできるようにします。
 
 この企画は、学生さんたちが主導で行われます。いま、奨学金を借りている学生さん、返し始めた社会人の皆さん、実は延滞しているんです…という方々、保証人になった親御さん、高校や大学の教員の皆さん、そして全ての市民の皆さんが対象の企画です。奨学金や教育について、何にも知らなくて構いません。どんな悩みがあるのかを知ってもらうことも、大切なことです。2013年7月7日、午後1時〜さっぽろテレビ塔2階の会議室「すずらん」で皆さんをお待ちしています。

 なお、画面上部の「アップロードファイル 154-1.pdf」をクリックすると、カフェチケットをダウンロードできます。
 また、この企画は、札幌弁護士会のホームページでも紹介されております。
 http://www.satsuben.or.jp/events/2013/15details.html

憲法のこと、一緒に考えてみませんか①

 弁護士の香川志野です。

 先日、憲法についてお話をさせていただく機会がありました。
せっかくなので、ここでも少しお伝えしたいと思います。

 まずは、知っているようで知らない憲法の目的について。
 憲法は、何のためにあるのでしょうか。
 憲法の目的は、個人の権利・自由を守るために、国家権力を「制限」することです。
 権力を縛るための憲法だということが、全ての出発点です。

 近時、憲法の改正要件を緩和しようとする動きがあります。
平和や人権を保障している憲法を、簡単に変えることができるようになったら、私たちの平和な暮らしや少数者の人権は、簡単に奪われてしまう危険性があります。

 実際に憲法が改正されるどうなってしまうのか、自民党が発表した憲法改正草案を例に考えてみたいと思います。
 自民党の改憲草案では、憲法9条の戦力不保持規定を削除し、国防軍を創設するとしています。これは、日本を、「戦争をする国」に変えてしまう内容です。
 大切な人が戦場に行ってしまう、そんな国にしてはいけないですよね。

 では、「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」とする改正案についてはどうでしょうか。おかしなことだとすぐ気がつくでしょうか。
 冒頭に書いた憲法の目的を考えれば、憲法を守らなければいけないのは、国民ではなくて国家権力だということがわかります。このような改正は、憲法の本質をすっかり変えてしまうものなのです。

                                                     〜次回に続きます