北海道、札幌を中心とした法律事務所です。財務整理や民事事件など多様な法律問題の解決に取り組んでいます。

 

奨学金問題対策全国会議のホームページが開設されました!

 弁護士の池田賢太です。

 当事務所の橋本弁護士とともに加入している奨学金問題対策全国会議のホームページ http://syogakukin.zenkokukaigi.net/ が開設されました!


 奨学金問題については、以前もこのコラムで紹介したことがあります。このホームページを見て、去る2013年7月7日に実施した札幌テレビ塔でのイベントに参加して下さった方もおられたように記憶しています。


 現在、私たちが直面しているのは、日本学生支援機構の奨学金です。現在、日本学生支援機構の奨学金では、債権回収会社、ブラックリスト、訴訟等までも利用した徹底した回収強化策を取っています。それによって返済ができない人に対する無理な取り立てが行われ、奨学金を返したくても返せない人が、経済的にも、精神的にも追い詰められています。


 しかし、このことは、決して日本学生支援機構だけではありません。私たちもまだ全容を把握しきれていませんが、高校生に対する奨学金でも同様の問題が起きています。高校生に対する奨学金も、かつては日本学生支援機構が行っていましたが、平成17年から各都道府県の高等学校奨学会に業務が移管されました。ここ北海道では、財団法人北海道高等学校奨学会がその役割を担っています。こちらからの回収も厳しくなっていると聞いています。

 奨学金問題対策全国会議のホームページでは、次のように自己紹介しています。
「わたしたちは、奨学金問題に取り組む全国組織として、奨学金返済問題に苦しむ人の相談・救済活動を行いながら、真に学びと成長を支える奨学金・学費の制度改革を目指す活動をつづけていきます。」


 奨学金の返済について、困ったことや相談したいことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。あなたの相談から、新たな道が開けるかもしれません。
 また、学生さんたちとともに、「北海道学費と奨学金を考える会(通称:インクル)」でも活動しています。インクルでは、法律問題に限らず相談を受け付けています。もしかすると、勉強や進学に対する悩みについても、現役の学生さんが答えてくれるかもしれませんよ。

 おひとりで悩まず、まずはご相談ください。

 奨学金問題対策全国会議 ホームページ
 http://syogakukin.zenkokukaigi.net/

裁判員裁判:検察官が控訴を断念、道内初の無罪判決が確定!

 弁護士の笹森学です。

◆暴れる弟を兄が押さえつけて窒息死させたという前回報告した傷害致死事件の裁判員裁判で、2013年10月7日に言い渡された無罪判決が「確定」しました。確定とはその判決がもはや争うことができない状態になり、そのとおり決まって動かせなくなるということです。被告人と検察官のうち、一審判決に不服のある者は14日間以内に高等裁判所に控訴という不服申立ができます。今回、被告人は無罪だったので控訴することはあり得ません。控訴する利益がありませんのでできないからです。控訴する側はもっぱら検察官でした。


◆通常、検察庁では、無罪をもらってしまった検察官が裁判経過などを報告し、起訴検察官や同僚検察官、上司の検察官も加わって無罪判決の検討会が行われます。これを「控訴審議」と言います。そこで議論をしてやはり判決はおかしいとなれば控訴するということになります。今回はどうだったのでしょうか?10月21日のテレビ報道によれば、検察庁では検討の結果「有罪を立証する新たな証拠を得ることは難しく、裁判員裁判で導き出された結果を尊重する」として控訴を断念したということです。同日の夕刊、翌22日の朝刊でも報道されました。


◆抵抗していた弟が身動きしなくなってからも興奮していたのでさらに10分間強く後頸部を押さえ付けていた、という被告人の自白。これが信用できるという証拠として検察官が取り調べを請求した取り調べの様子を録画したDVD。これを見た裁判員は自白が信用できない証拠だと判断しました。判決には、DVDの中で裁判員に疑問を生じさせたシーンが幾つも引用されていました。裁判員が市民の感覚で取り調べの様子を見て、自白が信用できないという結論を導き出した結果は大変画期的なことだと思います。密室の取り調べが、市民の感覚で断罪されたことに外ならないからです。私たち弁護人は、これこそが、まさに「取り調べの可視化」というものだと実感しました。


◆前のコラム(/news/archives/173.html)で、私は「裁判員が取り調べのDVDを見て自白の信用性を否定したこの判決に、さて検察官は控訴するでしょうか?」と書きました。今回、検察官は、まさに裁判員の判断を尊重せざるを得なかったのです。

担当した裁判員裁判で、道内初の無罪判決!

 弁護士の笹森学です。

◆2013年10月7日午後4時、札幌地裁刑事3部の加藤学裁判長が「被告人は無罪」と宣告し、法廷の全員が一瞬「ほう」という顔つきになりました。傍聴に来ていた私の担当の事務職員も「あらっ!」という感じで私を見やり、破顔しました。この事件をフォローしていなかった報道陣は色めき立ちました。道内で初めて裁判員裁判での無罪判決だったからです。
 皆さんも翌日の朝刊で「正当防衛で無罪 裁判員裁判で道内初」などの新聞記事をご覧になった方もおられると思います。


◆事件は2012年9月に札幌近郊の市のとある家庭で発生しました。精神的な病を悪化させていた弟から突然殴りかかられた兄の被告人が、自分の身を守ろうと暴れる弟の背中に馬乗りになり、首の後ろを強く押えたために顔を床に押し付けられた弟が窒息死した、として傷害致死罪で起訴されました。捜査段階から菅野亮弁護士が被疑者国選弁護人として付いており、私は起訴後に国選弁護人として選任され、菅野弁護士と協力して弁護に当たって来ました。被告人宅は両親との4人暮らしでしたが、事件当時は両親は外出し目撃者はおりません。弁護人は正当防衛が成立すると争いましたが、検察官は、起訴している事実は被害者が身動きしなくなった後も10分間首の後ろを押さえつけていた事実である、この事実によれば被害者の攻撃はないので正当防衛が成立する余地はない、と主張していました。


◆当然、被告人が被害者が身動きしなくなった後も10分間首の後ろを押さえつけていた事実があるかどうかが争いになりました。
被告人は、被害者の力が抜けた後は直ぐ手を離した、身動きなくなってから10分間も押さえ続けたことはない、と訴えていました。検察官は、被告人は起訴前の取り調べではそうだと自白しており、その自白は信用できる、その証拠として取り調べの様子を録画したDVDを提出して来ました。裁判所はそのDVDを証拠として採用、裁判の場で上映しました。傍聴人を含め、裁判員という普通の人々の前に生の取り調べの様子が白日のもとに晒されました。
私たち弁護人はこのDVDこそが無罪の証拠である、と訴えました。「ビデオを見て、どう思ったでしょうか?この人はホントは時間なんか覚えていないのではないか?最初言っていたことがホントではないか?もっとゆっくり聞いてあげたらどうか?結局わけが分からない、真実は分からないのではないか?などと思わなかったでしょうか?皆さまにそのような感覚があれば、その感覚を大切にして、被告人のことをよく考えてあげてほしい、と思ってやみません。」と。


◆DVDには、よく思い出せなくて困惑し、混乱している被告人の様子が如実に映し出されていました。「いやァ・・・どうだったかなァ」「動かなくなったので直ぐに手を離したのは覚えてるんですけど」「興奮していたのでずっと押さえていたかも知れない」「いや、興奮してたかなァ?」「最後の10分間のことを思い出して下さいってことですよね」など揺れ動く被告人に検察官も手を焼き、「そういうことなら警察で話したこととはどうなんだってことになってしまう」「整理するとね・・・で、・・・があるかないかということなんだ」「今のあなたの記憶でマックスの所を聞きたい」などと懸命に路線を戻そうとやっきになり、ついに「今言ったことがマックスということで聞いておいていいね」と話をまとめてしまった経緯が明らかでした。私たち弁護人は、裁判員の人も絶対に分かってくれると信じてやみませんでした。


◆裁判員の判決は、その揺れ動いて記憶が曖昧だと受け取れるシーンを指摘して、「被害者が死亡するに至るには被告人がどのような行動をどの程度の時間行ったかを被告人なりにつじつまを合うように考えて供述したために供述の変遷を繰り返した可能性が高く、(検察官調書は)信用できない」として、被害者が身動きしなくなってから10分間押さえ続けたという自白調書は信用できないと断じたのです。そして、それ以前の反撃は正当防衛と認められるとして無罪を言い渡しました。


◆被告人は捜査終了後に精神鑑定を受け、知的能力に劣る人であるとの判断を受けていました。私たちは繰り返し質問し、粘り強く本人の話を聞き、真実に近づこうと努力しました。菅野弁護士は最終弁論で「私は捜査段階から弁護人として就いていましたが、彼の能力に気づきませんでした。適切な助言ができていなかったかも知れません」と自己批判していましたが、捜査段階の自白を死守しようとした検察官の姿勢と比較して、立派な態度だったと思いました。ただし、判決は被告人の能力を問題とせず、いずれにしても記憶があったか疑わしいと判断したものでした。


◆裁判員が取り調べのDVDを見て自白の信用性を否定したこの判決に、さて検察官は控訴するでしょうか?

紙の鎧

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          【紙の鎧を身にまとう前の無防備な人】

 弁護士の橋本祐樹です。

先日、2013ユニオンフェア「労働組合って、けっこう凄いんです。」の中の企画「北海道青年フェスタ」で、労働法の基礎知識をレクチャーする講師をしました。
 場所は地下歩行空間(札幌駅からすすきのまで南北に通る地下街、通称チカホ)、時間は日曜日の昼下がり。
 お話をいただいた際は、「ここを通る人々が、こんな硬派なネタに立ち止まってくれるには、よほどの工夫が必要だな」と思いました。
 ところが、準備をする北海道の青年達は、寸劇を準備し、その中で労働法の問題点を指摘するという、道行く人が立ち止まりやすい工夫をしていました。
 そこで、私も、「労働法って言われても、何だか難しそう」と敬遠されないように、レクチャーする際に工夫をしました。見ただけでイメージしやすいように、「無防備な人」に「鎧」を着せて行こうと考えたのです。「無防備な人」とは、社会に出るまで労働法の教育を受けていない普通の若者で、「鎧」とは、労働者を保護する各種制度・規定です。
 寸劇は、青年達の力がとても入ったもので、実話も交えてリアリティとエンターテインメントを織り交ぜた堂々たる仕上がりでした。「働きはじめのプレッシャー」「職場で働くプレッシャー」「職場で事故に遭った際のプレッシャー」「雇い止めのプレッシャー」「美容室はてんてこ舞い」などのテーマの問題を分かりやすく、あぶり出してくれました。
 「働きはじめのプレッシャー」では、労働条件明示義務(労働基準法15条)の話をして、労働者が身を守るために労働条件を知ること、契約書の交付を求めることが重要だと話しました。そして、手に持って説明していたメモを「鎧」に見立てて、「無防備な人」に貼っていきました。
 「職場で働くプレッシャー」では、どういう場合がパワハラと言え、どういう対処がありうるかを説明し、「職場で事故に遭った際のプレッシャー」では、労災に遭ったときの対処、その他産休や育休についてもお話ししました。「雇い止めのプレッシャー」では、雇い止めをする際の面談の在り方、解雇の要件などについて説明し、「美容室はてんてこ舞い」では、残業代や最低賃金について、お話をしました。お話をする際に持っていたメモは、全て「鎧」として「無防備な人」に貼られて行きました。働き始め、働いている最中、仕事を辞めるとき、それぞれの過程での問題点についての話が全て終わる頃には、「無防備な人」の体は労働者を保護する各種制度・規定を書いたメモの「鎧」で覆われていました。
 日本の教育課程では、労働法の知識を学ぶ機会はありません。だから、社会に出て、使用者が違法なことをしてきても「社会ってそんなもんなのかな」と思い、我慢してしまうのです。そして、その人が労働法を学ぶ機会を得ないまま「社会人」として育ってしまうと、自身も、他の若者に対して「それが社会の在り方ってもんだよ」と違法なことを受忍させようとしてしまうのです。そういう意味では、労働法を学ぶことは、自身を守るという側面のみならず、他者への責任という側面もあるのではないかと思っています。
 日曜日の昼下がり、繁華街への道すがら、紙の「鎧」を着た元「無防備な人」を見た若者が、少しでも労働法に関心を持って頂けたら、とても嬉しいです。
 今回の企画を通して、若い人にもっと労働法を知ってほしい、労働法を知って身を守ってほしい、そして疑問に思ったら相談してほしい、と思いました。

何としても実現!公契約条例集会

 弁護士の渡辺達生です。

 先日、公契約条例の制定を求める10万人署名のことをこのコラムに書きました。
 先日のコラムは、こちら→ /news/archives/168.html

 札幌市において公契約条例の制定を求める市民の強い意志を社会的に強力にアピールするために、10万人署名の提出と合わせて、下記の日時・場所で市民集会を行います。
「なんとしても実現!!  公契約条例集会」
  日時 9月13日(金) 開演18時30分 開場18時
  場所 自治労会館5階大ホール(北6条西7丁目)

 チラシもご覧ください。http://www.hg-law.jp/file/130913%20nantoshitemojitsugen.pdf

 札幌市の公契約条例もよいよ正念場です。
 是非、皆さん、ご参加ください。
 よろしくお願いします。

日弁連の人権大会の調査でフランスに行ってきました。

 弁護士の渡辺達生です。

  1 弁護士の使命は、弁護士法に規定されているように、人権の擁護と社会正義の実現ですが、弁護士会として取り組む人権擁護活動の最も大きなイベントが、日弁連の人権大会です。今年の人権大会は、10月3日・4日に広島で開催されます。3つの分科会でシンポジウムが行われるのですが、第3分科会では、『「不平等」社会・日本の克服ー誰のためにお金を使うのかー』というテーマでシンポジウムを行います。私は、この第3分科会の実行委員となっています。
 6月22日から30日にかけて、第3分科会の実行委員会のフランス調査に、私も参加してきました。


  2 フランスは、ドイツに次ぐEU第2位、世界でも第5位の経済大国です。不平等社会の克服を考えた場合、福祉国家を想定しますが、スゥエーデン、ノルゥエー、デンマークといった北欧の国々は人口が1000万人に満たない小さな国ですが、経済大国の福祉国家という意味で、フランスはきわめて興味深い国です。
 また、フランスは、2007年には、アメリカ流市場主義を標榜する国民運動連合のサルコジが大統領になりましたが、2012年には、社会党のオランドが大統領になり、年収が100万ユーロ(約1億円)を超える個人の富裕層に対し、最大75%の税率を課す特別貢献税を導入しようとしています。


  3 調査先は、役所関係、市民団体、労働組合等13に及びますが、ここでは、私が深く印象にのこった2か所を紹介します。

① ONPES(貧困と社会参入観測所)
 ONPESは、貧困にかかわる様々な社会的な問題を調査・研究する国の機関です。公的な統計に加え、民間団体からのデータも広く集積し、貧困の実態についての独自性をもった総合的な分析を行い、集約した情報を政府、議会、公共(市民)に配信しています。この報告が政府に対し、大きな影響力を与えることも少なくありません。

 対策を立てるにしても、まず、情報を収集し分析することが必要ですが、貧困問題について、フランスでは国家がそれをやっていうるのです。日本では、民主党政権になるまで、貧困問題の調査をほとんど行っていませんでしたので、日本とは全く違います。

② DAL(住宅への権利)
 DALは,1990年に設立した市民団体で、住宅困窮当事者の救済と「住宅への権利」の発展のために,住宅困窮当事者とともにスクワット(占拠)や裁判闘争を行っています。

 スクワットとは、建物(主に、国や会社が使用していない建物)を占拠し、貧しく屋根のある住居のない人たちに対し,そこを一時的な住居として提供することです。このようなことを日本でやると、住居不法侵入で逮捕される、あるいは、民事裁判で明け渡しを命じる判決が出され、強制執行を受けるということになりますが、フランスはそうはならないのです。

 住宅を確保することは、人が人間らしく生活する上で極めて重要なことですが、フランスでは、法的な権利として住宅の権利を保証しており、それを具体化する様々な施策が進められています。一例をあげると、上記のとおり、建物を占拠したとしても、正当な理由があれば、それが刑事罰の対象となることも、所有者による明け渡しの裁判が認容されることが無いのです。しかも、この正当な理由は、占拠している人を基準に、その人に他に住む家がなく、ここに住まなければ野宿をせざるを得ない等の事情があれば、認められるのです。その背景には、住宅として使えるのに使われていない建物が単に値段をつり上げるために寝かされており,他方で,無数の人たちが屋根のない生活を強いられていることが不正義であることや、国際的な人権法の発展の中で、屋根のない場所で野宿をせざるを得ないことは、人道に反する権利侵害であること等が、社会の共通認識になっています。

 DALによるスクワット活動が、契機になり、裁判上、このような権利が認められ、それが立法につながっています。それが、DALO法です。この法律は,やむを得ざる状況が生じているために占拠を行っていることを証明できる場合に,空き家の占拠に正当性を与える法律であると共に、国に対し、住居の提供を義務付ける法律でもあります。DALO法に基づき、申請をすれば、国は、住居を割り当てなければならず、その旨の判決を出すこともできます。

 法的な細かいことはまでまだ調査ができていませんが、日本では法的にあり得ないことが、フランスでは法的に認められていることが非常に新鮮でした。また、市民の運動が社会的に認知され、そこから法的な権利が作られるということが、このような市民法の場面であることも、非常に興味深いことです。
                            

札幌市公契約条例制定を求める請願署名へのご協力をお願いします!

 弁護士の渡辺達生です。

 4月に、このコラムに「公契約条例」のことを書きました。
 公契約条例は、地方自治体の発注する事業を受注する業者が労働者に適切な賃金を支払うことを義務付ける条例です。地方自治体の発注する事業を低価格で受注することによって、そこで働く労働者に貧困問題が生じており、“官製ワーキングプア”と呼ばれております。公契約条例は、この問題をなくすきっけけになります。
 詳しくは、こちらのコラムをご覧ください。
 /news/archives/139.html


 「札幌市公契約条例の制定を求める会」では、公契約条例の制定を求める10万人署名に取り組んでいます。
 取り組みの意義については、こちらのお願い文をご覧ください。
 http://www.hg-law.jp/file/130809%20koukeiyaku%20onegai.pdf
 公契約にかかる競争入札をめぐる課題についてもわかりやす解説をしておりますので、こちらもぜひご覧ください。
 http://www.hg-law.jp/file/130809%20Koukeiyaku%20kadai.pdf
 

 請願の趣旨に賛同いただける方は、たいへん恐縮ですが、署名用紙をダウンロードしていただき、私まで署名用紙をご郵送いただけると幸いです。
 http://www.hg-law.jp/file/130809%20koukeiyaku%20syomeiyoushi.pdf
 よろしくお願いいたします。

給費制廃止違憲訴訟ついに提訴!

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 弁護士の橋本祐樹です。

 以前、このコラムでも「司法修習費用の給費制についてのパブリックコメントのお願い」という形で、司法修習生の給費制の復活を求める活動について、少しご紹介させていただきました。
 今回は、司法修習費用の給費制が廃止され、給与が与えられないまま1年間の司法修習を義務づけられたため(修習に専念する必要から、アルバイト等はできません)、生活費をまかなうために国から約300万円の借金をしながら司法修習を終了した元司法修習生(昨年12月に弁護士登録した現在1年目の弁護士たちです)が、国に対して提訴をしたことをご報告致します。
 8月2日に提訴したのは、東京(原告118名)、名古屋(原告45名)、広島(16名)、九州(32名)の4地裁です。この原告というのは、全て昨年12月に弁護士登録した現在1年目の弁護士たちなのです。代理人は全国で463名が名を連ねています。

 その名も「給費制廃止違憲訴訟」です。
 報道では、前年までの司法修習生との差別で平等権を侵害するということのみが伝えられていますが、もう少し深い内容があるので、少しややこしいですがご説明します。
 まずこの訴訟は、法曹三者を一体的に養成する統一修習が、国の人権擁護義務及び憲法擁護義務(憲法11条、13条前段、97条、99条)に基づく憲法上の要請として実施されていることを前提に、司法修習生が公務員に準ずる地位にあり(憲法15条1項、2項)、司法修習の目的達成上不可欠のものとして修習専念義務を負っていることからスタートします。
 その上で、憲法上の権利として、司法修習生の給費を受ける権利というものを構成します。この司法修習生の給費を受ける権利は、①給費制が国民の権利擁護のための統一司法修習及び修習専念義務と不可分一体な国の憲法上の義務であること(憲法第3章及び第6章)、②司法修習生の修習専念義務による権利制約及び修習専念のための経済的生活保障であること、③法曹になるという人格的選択をした司法修習生が生活を維持しながら司法修習に取り組む権利として、憲法13条後段、21条1項、22条1項、25条1項、27条1項により保障されるのです。
 しかしながら、1年間無給で修習をし、すでに法科大学院で平均340万円の奨学金による借金があるにもかかわらず、さらに約300万円の借金を負わされ、年老いた親や弟妹に連帯保証人を頼まざるを得なかったのであり、司法修習生の給費を受ける権利が侵害された実態があるのです。
 そこで、国による給費制廃止と原告らの司法修習にあたり給費制廃止の弊害が実際に生じているのに給費制を復活させなかった不作為が違憲違法であり、国家賠償法に基づき請求をするのです。本来なら、給費制であれば得られたであろう給費請求相当額と慰謝料として300万円以上の請求をするべきなのですが、この訴訟では、原告らは自身の救済のみならず法曹の公共的・公益的使命を自覚し本訴訟に参加しています。法曹の公共的・公益的使命という観点からすると、本訴訟は約300万円などという金額以上の価値を有するため、請求において金銭的な意味を排除すべく、一人当たり1万円の請求をしました。

 この訴訟の意義は、司法修習生への給費制が国民のための司法を担う法曹養成が国の憲法上の義務であることを確認し、新第65期司法修習生であった原告らの被害回復にとどまらず、法曹の多様性確保のため志ある人材が経済的事情で法曹を断念することのないようにし、国民の人権擁護を担う司法制度の維持発展を目的とするものです。
 平均600万円以上の借金を背負った新人弁護士が、慣れない仕事の終わった後、ボスの帰ったあとに訴状の起案をしました。そして何度も会議をもって57ページの訴状に仕上げました。自らの利益のみならず、法曹を目指す者のため、広く国民のため、人権が尊重される司法制度のためという目的を忘れることなく準備した新人弁護士は非常に尊敬できます。
 訴訟と社会運動は、車の両輪です。このような新人弁護士を法曹界全体が支持し、世の中に向けて、給費制の意義、給費制廃止下での司法修習の実態についてご理解いただけるようにしないといけないと思います。

 私も、給費制廃止違憲訴訟弁護団の一員として、給費制が復活するまで、新人弁護士とともにがんばっていこうと思います。
 一人でも多くの市民のみなさまのご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
 

第23回参議院選挙を終えて・・・いま私たちは何をなすべきか。

 弁護士の佐藤博文です。

 参議院選挙の投開票が21日に行われました。皆さん、どんな思いで投票されましたか。その結果をどう受け止めていますか。私は、これからの3年間(昨年末の総選挙での自民党圧勝により4年間解散がない可能性あり)は、日本国憲法の下で培われてきた日本社会の民度が最も試される時期になると、覚悟を決めました。

1. TPP交渉参加問題でも、原発問題でも、消費税増税問題でも、憲法改正問題でも、雇用・賃金問題でも、どの世論調査からも自民党政権の政策に対する反対あるいは批判が過半数を占めているのに、選挙権を行使した人が少なく(投票率は52.61%)、そのうえ少数世論にすぎない政権与党が圧勝しました。
 民主主義の観点からは、国民世論が国会に鏡のように反映されるべきです。そこで大いに議論し、合意を形成するのが民主政治の神髄であり、理性による政治というものです。ところが、「ねじれ解消」と言われ、数の力によって少数意見を切り捨て、しかもそのスピードを求める議論は、民主主義を「多数決主義」に歪曲し、個人の尊重に基づく「立憲民主主義」に反するものです。
 このような民意と議席とのギャップを生み出している大きな要因が、昨年の総選挙でも顕著になった「小選挙区制」です。この解消が緊急の課題になっていると思います。

2. 日本の政党には世界のどこの国にもないほど多額の税金が交付されていることをご存じですか。政党(日本共産党を除く)は、有権者に財政的な負担を求める努力をせずに、議席が与えられるのです。以下に、今回の挙結果と、政党交付金の配分を一覧表にしてみました。皆さんは、どう思いますか。
 これでは有権者と政党との間に緊張感と責任感のある「委任関係」は生まれません。支持もしていない人からお金を取るのは、政党としては強盗の論理に等しく、有権者からすると思想信条の自由に対する侵害です。政党は、支持者に活動資金の拠出を訴えそれによって活動してこそ、有権者が言うべきことを言い、政党は責任を果たそうとするという正しい関係が生まれるのではないでしょうか。

3. 今回の選挙で、「明確な改憲勢力+政権与党の公明党」の議席数を見ると、163議席(67.4%)国会の発議要件である3分の2をギリギリ超えました。憲法改悪が「紙一重」のところに来てしまいました。日本維新の会の石原代表は、「今回の選挙で憲法改正に道筋を付けることができた」とコメントしています。悔しいですね。
 国民主権と徹底した人権保障、恒久平和主義を謳う日本国憲法を守り、その憲法に基づいた政治を実現するために、腰を据えた闘いがこれから待っています。

  
[今回の選挙結果と政党交付金]
                  今回  新勢力  政党交付金(2013年度)
政権与党     自民党    65  115  145億5053万円
           公明党    11   20   25億5791万円
みんなの党             8   18    17億8950万円
日本維新の会            8    9   27億1578万円
民主党               17   59   85億3402万円
日本共産党             8   11   政党交付金の廃止を求め受領拒否
生活の党               0    2    8億1605万円
社民党                1    3    5億4104万円
新党改革              ー    1    1億2468万円
みどりの風              0    0    1億3879万円
諸派(沖縄・糸数慶子)      1    1
無所属                2     3


[参議院の勢力と憲法改正発議要件3分の2との関係]
改憲発議に必要な参議院3分の2    ⇒ 162議席/総議席242 
改憲勢力  自民・みんな・維新・改革  ⇒ 143議席(59.1%)
               +公明党    ⇒ 163議席(67.4%)
                  +民主党 ⇒ 222議席(91.7%)

いよいよ投票日です!

 弁護士の池田賢太です。

 いよいよ7月21日が近付いてきました。何の日かお分かりですよね。
 そう、参議院議員選挙の投票日です。

 皆さまのお手元に、当事務所の事務所報「北の峰」2013年夏号は届きましたでしょうか?憲法特集号と題して、各弁護士が「暮らしの中に根付いている憲法」について考えてみました。
 これがなかなかの好評で、追加で送付してほしいという嬉しい声も届いています。

 報道によれば、安倍首相は、選挙情勢の報道に気を許してか、再び憲法改正をとくに将来の9条改正を口にしています。
 早稲田大学の水島先生は、「憲法は、過去の記憶を記録して記述したものだ」と仰います。現憲法の9条は、まさに2度の世界大戦の惨劇を忘れまい、二度と起こすまいという決意を記録し、記述したものだと思います。だからこそ、日本国民だけではなく、「全世界の国民が、等しく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認」したのです。

 憲法は、国のあり方を決める基本的なルールです。そこには、このような国を作りたい!という理想が掲げられています。
 理想は、時代によって変質するのでしょうか。現実にそぐわないと言って、理想を変えるのでしょうか。現実にそぐわないからこそ、理想を高く掲げ、それに向かって努力を続けるのではないでしょうか。

 今回の選挙の後、衆議院の解散がなければ、3年後の参議院選挙まで国政選挙はありません。まさに、今回の選挙は今後の日本の方向性を決めるとても大切な選挙です。
 皆さんの1票は、皆さんが思っている以上に貴く重みのある1票です。棄権することなく、皆さんの思いを託して、その1票を投じて頂くことを強く願います。

※ 北の峰の2013年新春号・夏号は、いずれも、ホームページでのアップ準備作業中です。近日公開予定ですので、お待ち下さい。