北海道、札幌を中心とした法律事務所です。財務整理や民事事件など多様な法律問題の解決に取り組んでいます。

 

北星学園大学植村さんの名誉棄損訴訟のご紹介

 弁護士の小野寺信勝です。

  元朝日新聞記者で、北星学園大学非常勤講師の植村隆さんの名誉毀損訴訟をご紹介します。

 1 はじめに

 2015年2月10日、朝日新聞元記者で北星学園大学非常勤講師の植村隆さんを原告として、ジャーナリストの櫻井よしこ氏、週刊新潮や週刊ダイヤモンド、雑誌WiLLを発行する出版社らに対して、名誉毀損を理由として謝罪広告の掲載や損害賠償の支払いを求める訴訟を札幌地裁に起こしました。

2 植村隆さんに対する誹謗中傷

 植村さんは、1991年8月11日付朝日新聞大阪本社版社会面に、はじめていわゆる従軍慰安婦として名乗り出た金学順さんの署名記事を書きました。その記事は「『女子挺身隊(ていしんたい)』の名で戦場に連行」というものでした。植村さんはこの24年も前の記事を巡り「捏造記者」という汚名を着せられ、激しい誹謗中傷に晒されています。

 植村批判は、勤労動員する「女子挺身隊」と無関係の従軍慰安婦とを意図的に混同させ、日本が強制連行したかのような記事にしたなどというものです。

 しかし、植村さんが記事を書いた当時、韓国では「挺身隊」という言葉は「慰安婦」を意味し、日本のメディアにおいても踏襲されていました。朝日新聞だけでなく、読売新聞、産経新聞などの他紙も慰安婦のことを「挺身隊」と表記していました。このように植村批判は全くの的外れであり、慰安婦問題にとって全く本質的な批判ではありません。朝日新聞の2014年8月5日の検証記事でも植村さんの記事に「意図的な事実のねじ曲げなどありません」と結論付けられました。

 ところが、植村さんへの誹謗中傷は止むどころか、日ごとに高まるばかりでした。北星学園大学にはいやがらせ電話や手紙が寄せられ、「あの元朝日(チョウニチ)新聞記者=捏造朝日記者の植村隆を講師として雇っているそうだな。売国奴、国賊の。植村の居場所を突き止めて、なぶり殺しにしてやる。すぐに辞めさせろ。やらないのであれば、天誅として学生を痛めつけてやる」などの脅迫文も多く届いています。さらに、脅迫は植村さんの家族にまで及んでいます。インターネットには娘さんの写真が晒され、コメントには「こいつの父親のせいでどれだけの日本人が苦労したことか。親父が超絶反日活動で何も稼いだで(原文ママ)贅沢三昧で育ったのだろう。自殺するまで追い込むしかない」「なんだまるで朝鮮人だな。ハーフだから当たり前か。さすが売国奴の娘にふさわしい朝鮮顔だ」などと極めて下品な書き込みが溢れています。

3 櫻井よしこ氏による憎悪の扇動

 ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、植村さんや家族、北星学園大学が、このように脅迫や暴力の恐怖に晒されていることを知りながら、雑誌やインターネット上で植村さんの記事が「捏造」であると誹謗中傷を繰り返し、さらに教員の適格性がないと人格非難まで続けています。

 たとえば、「若い少女たちが強制連行されたという報告の基となったのが「朝日新聞」の植村隆記者の捏造記事である」「こんな人物に、はたして学生を教える資格があるのか、と。一体、誰がこんな人物の授業を受けたいだろうか」というように。

 それどころか「植村氏を教壇に立たせて学生に教えさせることが大学教育のあるべき姿なのか、と北星学園大学にも問いたい」と、北星学園大学を中傷する発言さえあります。

 ジャーナリストであるならば、植村さんの言論活動が暴力により否定されそうな事態に対して、立場を超えて脅迫者らを非難すべきです。ところが、櫻井氏は「社会の怒りを掻き立て、暴力的言辞を惹起しているものがあるとすれば、それは、朝日や植村氏の姿勢ではないでしょうか」などと、あたかも暴力行為を正当化するかのような言説まで振りまいています。

  櫻井氏の社会的影響力に照らせば、その言動が植村さんに向けられた憎悪を煽るものだと言うことができると思います。私たちは提訴前に櫻井氏に対して記事の訂正と謝罪を求めましたが、櫻井氏はそれを拒否したため、名誉回復のためにやむを得ず訴訟を提起することになりました。


 4 移送決定

  このような経緯から、私たちは、札幌地方裁判所に名誉毀損訴訟を起こしましたが、札幌地方裁判所は、被告らの移送申立てを受けて、東京地裁に移送する決定をしました。その理由は、被告らの関係者は東京周辺に在住していることや被告らが札幌に出廷する期日調整が困難であるといった技術的理由から、東京地裁に移送を決定しました。

  しかし、非常勤講師である植村さんと著名なジャーナリストや出版社の経済格差は明らかです。しかも、植村さんは名誉毀損の被害者であり、その名誉毀損によって職を失った方です。それにも関わらず、植村さんと弁護団に毎回、東京に出廷を求めることは極めて不公平です。また、移送決定は、マスメディアによる一市民に対する名誉毀損事件を事実上東京地裁の専属管轄とする結果を招く先例となる無謀かつ極めて不当な決定です。

  植村さんの被害の実態を十分に審理するためには、裁判は地元である札幌地裁で行うことが必要ですし、最もふさわしいと考えられます。そこで、私たちは札幌高等裁判所に抗告し、現在、審理されています。


 5 植村事件は「自由」を守る闘い

 この裁判は、札幌の弁護士を中心に107名もの弁護士が代理人となっています。

 植村さんの名誉を回復するためであることは言うまでもありません。慰安婦問題をなきものにしたい者たちによって「捏造記者」のレッテルを貼られ、過去の言動をなきものにされようとしている言論の自由、脅迫や圧力等による大学の人事介入や大学の自治、学問の自由の危機。こうした自由の危機的状況を象徴する事件だと考えているからです。

 植村訴訟は、私たちは札幌地裁での審理を求めていますが、残念ながら札幌地裁は不当にも東京地裁への移送を決定してしまいました。札幌高裁の判断も予断を許しません。

  しかし、仮に、東京地裁に移送された場合であっても、講演会や裁判報告集会などを企画して、みなさんに裁判の状況をご報告したいと考えています。また、植村さんの名誉回復や今日の事態を打開するためには市民の皆様のご支援も必要になります。今後ともぜひ応援をよろしくお願いします。

強行採決 なまらムカつく!!

 弁護士の池田賢太です。

 

 7月13日の月曜日、お昼と夕方、2回にわたって若者たちが街頭宣伝を行いました。そのタイトルが、「強行採決 なまらムカつく!!」でした。

 そして、今日、衆議院平和安全法制特別委員会は、戦争立法可決の強行採決をしました。なまらムカつく!!

 私は、講演会で繰り返し、繰り返しお話ししていますが、この闘いに負けはありません。確かに、憲法は蹂躙されています。表面上はボロボロになっているかもしれない。

 だけど、その核心部分である「民主主義」とそれを支える「個人主義」と「自由主義」は、色褪せることなく、むしろ輝きを増しています。自民党をはじめ改憲勢力は、戦後一貫して、この核心部分を壊そうと躍起になっていたけれど、そこに手をつけさせていないのです。そして、今も、その核心部分を守りぬくために多くの個人が立ち上がり、抵抗し続けています。

  その意味で、私たちは負けたことがありません。百戦百勝です。彼らこそ、一度も勝つことなく、負け続けて来たのです。

 私たちが負けるときは、私たち自身が、個人主義を手放し、自由主義を手放し、民主主義を手放し、そして立憲主義を手放したときです。

 だとすれば、私たちに負けるときは絶対に来ない。

 秘密保護法も、昨年の閣議決定も、今日の強行採決も、あるいは今後行われるだろう数にモノを言わせた参議院採決や衆議院の再可決も、私たちが乗り越えなくてはならない、数多の試練のひとつです。

 個人の尊厳を掲げ、自由と平和を叫ぶ私たちの理想や理念が間違っているはずがありません。

 そもそも、今日の強行採決は、95日間の国会延長されたときから、予定されていたことじゃないですか。 想定内のことじゃないですか。

  この採決を止められなかったと、無力感に襲われる必要は全くありません。ただ、闘いが次のステージに移っただけなのです。衆院本会議、参議院特別委員会、参院本会議。まだまだ、私たちがやるべきことは残っています。

  多くの市民は、行動する私たちに希望と期待を持っています。様々な事情から、行動出来ない人もいるでしょう。私たちは、そんな人をこれからもっともっと仲間に取り込んでいかなければなりません。

 もう一度、確認しましょうよ。私たちの理想や理念が間違っているはずなど、絶対にありません。

 下を向き、卑屈になっているところに、仲間は集いません。頑張ってきたからこそ、やるせない思いにかられますが、私たちが諦めたら、彼らの思うツボです。

 怒りを力に。

傷みを力に。

 私たちは、絶対に許さない。

私たちは、絶対に負けない。

  私は、今日も予定通り憲法カフェをやります。一歩も引かない覚悟です。摺り足で、少しずつでも、前に進みます。

 いつも元気に頑張ることはとても大変だけど、私たちは独りではありません。

  胸を張って、堂々と抗議の声を!行動を!

『日本は再び戦争をするのか~集団的自衛権と安保法制の目的とは~』

 弁護士の小野寺信勝です。

 

 映画監督で作家の森達也さんと対談しました。

 

 札幌弁護士会主催の市民集会『日本は再び戦争をするのか~集団的自衛権と安保法制の目的とは~』に、森達也さんを講師としてお招きし、私が森さんに会場の質問も交えて質問するというコーナーを担当しました。

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 森さんは、オウム真理教を信者側から扱ったドキュメンタリー映画「A」「A2」の映画監督です。集団的自衛権への解釈変更や「戦争立法」の審議。森さんがその状況を、どう捉え、私たちはどのような道を選択すべきかをお聞きしました。

 

 政府は、「戦争立法」制定の理由を、中国の急速な台頭や北朝鮮、国際テロの脅威など、日本を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増していることから抑止力を高めるためだと説明しています。

 

 森さんは、そんな政府の説明にオウム以降の治安状況を引き合いに次のような疑問を投げかけます。

 

 日本の治安は、戦後、著しく向上している。ところが、オウム以降、体感治安は急激に悪化し、刑事政策は厳罰化の一途を辿っている。これは日本を取り巻く安全保障の危機意識の高まりと戦争立法と同じではないか、と。

 

 そして、森さんはノルウェーの刑事司法の寛容化に日本が取るべき進路のヒントがあると指摘します。

 

 ノルウェーも1970年代前半までは治安が悪く犯罪者には厳罰をもって臨んでいました。しかし、刑事政策の行き詰まりから寛容化に舵を切ると、治安は大幅に改善したそうです。その根底には、犯罪の原因のほとんどは貧困や愛情不足にあり、犯罪者に与えるのは苦しみではなく、愛情と正しい教育だという考え方があります。

 

 閉塞感が蔓延し、先が見えない。得体の知れない何かに怯えて、漠然とした不安感に包まれた社会。森さんの考えは綺麗事なのかもしれませんが、これからの社会の有りようを考えていくうえで、とても大切な視点を与えてくれたと思います。

 

年金減額違憲訴訟 第2次提訴

 弁護士の香川志野です。

 2015年(平成27年)5月20日、道内に住む215名の年金受給者が札幌地方裁判所へ、年金額減額処分の取消を求める「年金引き下げ違憲訴訟」の第2次訴訟を提起しました。すでに4月15日に142名が第1次提訴を行っており、第2次提訴と合わせて、原告の合計は357名になりました。6月にも第3次提訴を行う予定です。

 この裁判は、国民年金の年金額減額が、憲法13条(幸福追求権)、同25条(生存権)、同29条(財産権)に違反する違憲な処分であるとしてその取り消しを求めるものです。詳しくは、第1次提訴についてのコラムもご覧ください。

 (http://www.hg-law.jp/info/column/post_4.html

 この裁判の意義について、裁判所に提出した訴状の一文をご紹介いたします。

「原告らは、年金世代が憲法上の年金制度のあり方を問うことを通して、憲法が定めるこの国のあり方を明らかにし、次世代の人々が、本当に人間としての尊厳が守られ、人間らしく、安心して暮らせる平和で豊かな世の中にすることに貢献したいと考えている。これが本訴訟の目的であり、意義なのである。」

 第1次訴訟の第1回口頭弁論期日は、6月16日午後1時30分から行われます。

年金者組合が年金減額違憲訴訟を提起!

 弁護士の佐藤哲之です。

 2015年(平成27年)4月15日、年金者組合が中心となって、142名が札幌地方裁判所へ、年金減額処分の取消を求める訴訟を提起しました。島根、徳島に次いで、全国3番目です。

 当事務所の弁護士(本文の最後に記載しています)が代理人となっています。

 この訴訟で、問題としたのは、「特例水準解消」を口実に、2013年(平成25年)10月以降の年金額を1%減額したことです。

 年金額は、これまで物価にスライドして改定されてきましたが、1999年(平成11年)から2001年(平成13年)にかけて物価が下落したのに、景気対策のためとして、国は特例法を制定し、それにスライドさせて年金を減額しませんでした。

 しかし、2012年(平成24年)のいわゆる「社会保障と税の一体改革」の中で、この特例によって年金が高くなっているから減額するとされ、2013年(平成25年)に、まず、1%の減額が断行されたのです。

 これでは、ただでさえ劣悪な水準で、とても「健康で文化的な最低限度の生活」など営めないのに、消費税増税や生活用品の値上がりが続く中で、さらに年金額を引き下げるもので、高齢者の生活を破壊することになります。

 こんな年金減額は、憲法25条(生存権)、13条(幸福追求権)、29条(財産権)に違反するもので、到底許せません。

 私たちは、原告のみなさんとともに、年金世代が憲法上の年金制度のあり方を問うことを通して、憲法が定めるこの国のあり方(「戦争する国」ではなく、「真の福祉国家」)を明らかにし、次世代の人々が本当に人間らしく、安心して暮らせる平和な世の中にすることに貢献したいと感じています。これからも注目して下さい。

本件訴訟の代理人

  佐藤哲之、笹森学、石田明義、池田賢太、内田信也、小野寺信勝、

  香川志野、加藤丈晴、川上有、佐藤博文、中島哲、長野順一、

  橋本祐樹、三浦桂子、山田佳以、渡辺達生

  (すべて当事務所の弁護士)

そうだ!選挙に行こう!

 弁護士の池田賢太です。

 

 いよいよ第18回統一地方選挙が始まります。皆さんの貴重な1票を、私たちの生活を豊かにしてくれる・くれそうな候補に投じましょう。

 

 そうはいっても、なかなか自分の1票の重さって考えられないですよね。どうせ、私の1票はたかが1票なのだから。

 でも、当選するには、あなたのその1票が必要なのです。何百万票集めた候補がいたとしても、それはいきなり100万票が入ったのではなく、どこまでも1票1票の積み重ねでしかないのです。たかが1票、されど1票です。

 

 さきほど、「私たちの生活を豊かにしてくれる・くれそうな候補」と言いました。この「豊か」とは何か、ということも考えてみたいと思います。

 いろいろな考えがあると思いますが、私は今の生活をしっかりと見据えた上で、今よりも「豊か」な生活を求めたいと思います。お金も欲しいし、おいしいものも食べたいし、好きなだけ寝ていたい。でも、そんなことじゃ暮らしていけないので、働いてお金をもらって、充実した毎日を送りたいな、と思います。

 サービス残業をなくすだけでも「豊か」になるし、奨学金を返さなくてよくなるだけで「豊か」になるし、病気のときにはしっかり休んで医療を受けられるだけでも「豊か」になれる。そしてなにより、平和の中で生きていくということは、やっぱり「豊か」なことなんだと思うのです。

 

 私が求める「豊か」さは、当たり前のことが当たり前になされる社会です。だれかの犠牲の上に成り立つのではなく、みんなで分かち合う社会です。豊かさの尺度が経済的価値にばかり置かれているのは、決して豊かな状態ではないと思います。

 仕事をする時間、大切な人と過ごす時間、勉強する時間、おいしく食事をする時間、ゆっくりと体を休める時間。この中で経済活動をしているのは仕事をしている時間だけです。でも、それを支える時間が無ければ、仕事をすることすらできません。人間らしく生きられること。それは何よりも「豊か」なことだと思います。

 

 統一地方選挙は、私たちの暮らしに直結した選挙です。私たちの代表を選ぶ、大切な選挙です。同時に、国政にも大きな影響を与える選挙です。自公勢力が支持を増やせば、安倍内閣は今の政策が支持されたとして、沖縄の問題、有事法制の問題、労働改悪の問題をどんどん強行してくるでしょう。一見すると、私たちとは遠いところにある問題も、私たちの生活に直結しています。

 安倍首相は、国民のことを見ているようで、私たち一人ひとりのことは全く見ていません。抽象的な「国民」というものを見ているようですが、具体的な「個人」を見ていません。国民の安全を守ると言いながら、沖縄の人々の民意は無視し自衛隊を「わが軍」と呼び積極的平和主義の名のもとに私たちを危険にさらしています。このような政治をこれ以上進めることは許せません。

 統一地方選挙の勝敗は、今後の国会運営にも必ず影響を与えます。私たち自身が、どのような生活をしたいのか、しっかりと考え、貴重な1票を投じてほしいと思います。

 

「一大事!奨学金が返せないのはヨーカイのせい?!」をやりま〜す☆

 弁護士の橋本祐樹です。

 3月15日(日曜日)の午後3時から午後5時まで、札幌テレビ塔2階「すずらん」で、奨学金(主に日本学生支援機構の貸与型奨学金)のイベントを行います!

 タイトルは「一大事!奨学金が返せないのはヨーカイのせい?!」です!!

 いま、巷では、子どもたちが何でもかんでも「妖怪のせい」と言って、親や教員を困らせていると聞きます(笑)

 

 ホントは自分が悪いのに「妖怪のせい」とか「私がいくら説明しても、分からない人は分からない」などと言って言い逃れを図るのはいけませんね(爆)

 しかし、奨学金問題(主に日本学生支援機構の貸与型奨学金を借りないといけない問題及び借りた後の返済が必ずしも容易でないにもかかわらず救済につながるのも困難がある問題)の背景には、「借りたものは返せ」「大学に行ったお前が悪い」などという単純な「自己責任」論で片付けられない、まさにヨーカイのような原因が横たわっているのです。

 私は、当事務所の池田賢太弁護士とともに「北海道学費と奨学金を考える会 インクル」で活動してきましたが、そのヨーカイの正体について改めて考え、ヨーカイ退治の方法なども考えるイベントをやることにしたのです。

 2年前の7月にも同様のイベントを行い、報道もされ、少しは社会的関心も高まったと思っています。

 しかし、これから奨学金という名の学生ローンを借りる人、今借りている人、今返している人、返すのが困難になっている人、機構から裁判を起こされている人、保証の責任を追及されている人など、当事者において、その「おかしさ」や対処法を正確に理解していないのではないかと思っています。

 そこで、改めて、色んな世代の人に参加していただき、奨学金問題について考え、知識を得、対処方法等を身につけていただく機会を設けることにしたのです。

 第1部は「ヨーカイの正体は?」と題して、日本学生支援機構の奨学金の問題点について考えます。具体的には、奨学金問題に詳しいスーパー大学職員から大学での奨学金取り扱い実情を話していただき、そのあとに奨学金問題全国会議事務局長の岩重佳治弁護士から相談事例等を踏まえた機構の奨学金の問題点をご指摘いだきます。

 第2部は「ヨーカイ退治の方法は?」と題して、参加者相互に意見交換をしながら、対処方法等を検討します。具体的には、3~4個のテーブルに別れて、返還シミュレーションをしたり、政策を考えたり、保護者の責任(保証債務など)について学んだり、ということを考えています。

 春は進学や卒業のシーズンです。春が来る前の準備として、一緒にヨーカイについて考えませんか?

 みなさまのご参加をお待ちしております☆

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(チラシのダウンロードはこちら ↓

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TPPは憲法破壊の協定です。即時交渉離脱を。

「信頼はいつも専制の親である。」

 弁護士の佐藤博文です。

 「信頼はいつも専制の親である。」、これは、アメリカ憲法の起草者で後に大統領にもなったジェファーソンが、憲法と民主主義について説いた有名な言葉です。

 国民が主権者であり、民主主義を理念とする国家は、政治家を信頼して任せてはいけない。国民が情報をもって自ら決定しなければならない。そうでないと専制政治を招くと。民主主義にとって一番大切なことです。

 ところが、TPP交渉はどうでしょうか。

 参加国には秘密保持契約の締結が求められます。日本政府は、平成25年7月、マレーシア交渉から参加するにあたって、交渉中はもとより協定発効から4年間は交渉経過等内容の開示を一切禁じる協定にサインしました。その結果、全てが秘密に進められ、国会議員すら何も分かりません。締結した後に「まずかった」と思い直しても、交渉の内容を検証し、後戻りすることもできません。

 このようなことは、国民主権を定めた前文や第1条、国民の知る権利を定めた21条などに反する、重大な憲法違反です。

 政府は、「わが国の国益を最大限に実現する」と言いますが、誰がそれを保証し、誰がそれをチェックするのか。王様が平民に向かって「我を信ぜよ」と言うのと同じではないでしょうか。

 「日本は、いまやアメリカ憲法と同じ原理にたつ民主主義の国である。だから、憲法と民主主義に反する交渉はできない」と言えば、アメリカに返す言葉はないのです。いまなら交渉離脱は簡単なのです。

「国の主権を損なうようなISD条項は合意しない」

 これは、安倍政権が誕生した平成24年末の総選挙において、自民党が掲げたTPP反対の公約スローガンです。

 政府・自民党が、TPP協定に含まれるISD条項が、食の安全、医療・福祉・教育、労働法制、産業振興、地域振興などの様々な国内規制=非関税障壁を撤廃させることに本質があり、わが国の主権を侵害しかねないことを知っている証拠です。

 ところで、この耳慣れない「ISD条項」とは何でしょうか。

 外国投資家(企業や個人)が、投資協定に反すると考えたときに、その国を相手に国際仲裁機関に訴えることができ、訴えられた国の政府はその仲裁判断に無条件に従うことを約束することを定めた条項のことです。

 この場合の「政府」には中央政府だけでなく、地方自治体や政府投資機関まで含まれ、「措置」には行政府の行為だけでなく、法律や制度、裁判まで広く含まれます。

 簡単に言いますと、外国投資家の前に国家が自ら主権を制限し、彼らの金もうけの自由を最大限に保障してやる制度です

 ISD条項に基づく提訴が急増したのは、1994年発効のNAFTA(北米自由貿易協定)からでした。累計件数が450件に及び、原告企業の数はアメリカが断トツに多く、勝ったのはアメリカ企業だけだと言われています。仲裁の結果を秘密にできるので正確なことすら分からないという状況です。何とも恐ろしい話です。

 ISD条項は、国会が国民の最高意思決定機関であるとする憲法41条や、日本での紛争は日本の裁判所で解決できるとする憲法76条に反する、重大な憲法違反です。

給費制廃止違憲訴訟札幌訴訟第1回口頭弁論期日報告…漢字ばかりズラズラと長いタイトルでごめんなさい(汗)

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 弁護士の橋本祐樹です。

 給費制廃止違憲訴訟札幌66期訴訟の第1回口頭弁論期日が行われました。

 司法試験合格後1年間義務づけられる司法修習において、スキルとマインドを醸成しなければならないため、修習専念義務が課されアルバイトが禁じられることが要請されるにもかかわらず、2011年から給料が出なくなりました。それはおかしいということで、「無給制」(実態をごまかされて「貸与制」と呼ばれることもあります)のもとでの修習を終えた弁護士らが次々と提訴しています。給費制の廃止は人権侵害であり違憲であると主張しています。

 無給制第1期生の65期元司法修習生は、東京、名古屋、広島、福岡の各地裁で、合計210名の原告で裁判を起こし、現在も闘っています。
 無給制第2期生の66期元司法修習生も、東京、熊本、そしてここ札幌で、約160名で裁判を起こしました。代理人は全国で600名を超えています。札幌では、札幌弁護士会に登録した66期元司法修習生の約4人に一人が原告です。

 札幌訴訟の第1回期日では、原告団長の小林弁護士、全国弁護団長の宇都宮健児弁護士、札幌弁護団長の高崎暢弁護士から、それぞれ意見陳述がありました。

 小林弁護士は、自らの家庭の経済状況などを語りながら、幸運にも司法試験に合格できたが無給であったことから苦労したエピソードや、「司法が,困っている人も含め,どのような立場にいる人に対しても平等に接するものであるのに,その司法の担い手となるための入口で,裕福な家庭の出身か,経済的な余裕があるかどうかという選別が行われている現状に,私は非常に強い違和感と危機感を覚えます。」と、無給制の本質をえぐった陳述をしました。
また、「私は,このような現状が今後も続き,志ある後輩や優秀な後輩が経済的事情のみをもって法曹への道を断念せざるをえない状況となるのを防ぐため,本訴訟の提起に至りました。本訴訟は,決して,自分たち原告11人の権利のみを主張するものではありません。将来の司法の担い手,ひいては将来の司法制度そのもののために,現状を変えるために訴訟を提起しました。」と本訴訟を提起した理由を、クールに、しかし熱く語っていました。

 宇都宮弁護士は、戦前、弁護士は判事や検事より一段下に置かれたこと、弁護士試補の修習の内容も判事や検事の卵である司法官試補とは異なり無給であったこと、それが原因で人権弾圧を抑止できなかったこと、その反省の上に統一修習と給費制が導入され、それを定めた裁判所法が日本国憲法と同じ日に施行されたこと、など法曹養成の歴史に遡った陳述をしました。また、政府が給費制廃止の理由として挙げる理由には、全く根拠もないことをデータを示しながら説得的に話しました。

 高崎弁護士は、「どうか,給費制が廃止された現在の修習の実態,そして,若い原告らが体験した,経済的理由から,またそれに派生して起きた,あらゆる辛酸をしっかりと受け止めて欲しい」と熱い前置きをしたうえで、アンケートから浮き彫りになった無給下の修習生が「食費を切り詰める,病院に行くのを控える,書籍は買わない等の状態におかれている」こと、これにより法曹倫理という高度な倫理観、人権感覚、正義・公平というバランス感覚、社会人としての知識・素養を欠いた法曹が輩出されることは将来に渡っての社会的な損失になることを話しました。

 いずれの意見陳述も素晴らしく、裁判官や被告国の代理人である訟務検事も、頷きながら聞いているように見えました。
 各意見陳述の後には、思わず拍手をしそうになりました。

 80人ほど入る法廷の8割程度の傍聴者がおり、その中には一般の方も多くいました。傍聴をした一般の方からは、「なんでこんな制度になっているのか理解できない」「この裁判、応援します」などというお声がけもいただきました。

 先輩弁護士のみなさんも多数傍聴にかけつけてくれ、原告のみなさんは心強かったはずです。先輩弁護士は、無給制により、戦後の司法の民主化の中で獲得されてきた価値が無給世代の後輩へ受け継がれなくなることを危惧しているのだと思いました。

 給費制廃止違憲訴訟札幌訴訟の第2回口頭弁論期日は、4月23日(木曜日)11:30から、札幌地方裁判所805号法廷(8階)であります。
 次回も意見陳述を予定しています。
 みなさま、お友達を誘って、傍聴にいらして下さい☆
 

新年のご挨拶

 あけましておめでとうございます。

 みなさん 昨年末の総選挙で自民党・公明党の与党が3分の2を超える圧倒的多数の議席を獲得しました。早速、安倍首相は、安倍内閣の二年間が信任されたとばかり、アベノミクスの推進だけでなく、原発再稼働や集団的自衛権を含む安全保障法制の整備、更には改憲論議の推進まで口にしています。

 しかし、みなさん 与党の議席は小選挙区制という制度のなせる結果であって、決して国民の支持を反映したものではありません。そもそも投票率は戦後最低の52%、自民党・公明党の比例総得票数2600万票(47%)は全有権者の24%にすぎません。自分の最も都合のよいときに解散・総選挙を行ったのに圧倒的多数の国民は安倍内閣を支持しなかったのです。

 むしろ、ブレることなく自共対決を貫いた日本共産党が8議席から21議席に躍進したことに注目したいものです。

 みなさん 安倍内閣の政治手法をみてくると、今度の選挙で今後4年間の政治が白紙委任されたとばかりに、次々と悪政を強行してくることが予想されます。しかし、安倍内閣の政策は、エネルギー、外交・安全保障、憲法はもちろんのこと、一枚看板のアベノミクスでさえ、多くの国民の利益と相容れないものであることが明らかになりつつあります。

 矛盾は多数を結集します。多数の国民の力で安倍内閣の企みを一つ一つ打ち砕き、戦争する国づくりを阻止しましょう。そして、みなさんとともに憲法の理念を生かす平和で豊かな国をめざす一年にしたいものです。

                                   北海道合同法律事務所一同