北海道、札幌を中心とした法律事務所です。財務整理や民事事件など多様な法律問題の解決に取り組んでいます。

 

地域司法対策委員会の活動(その2)

 弁護士の川上有です。

【前回の復習】
 前回に続き、私が所属する札幌弁護士会地域司法対策委員会の活動について書いてみたいと思います。前回お書きしたとおり、札幌弁護士会の管内の自治体は、かなり特殊な状況にあります。全61自治体のうち、弁護士がいる自治体は17で、不在自治体が44です。そして、弁護士不在自治体のうち、人口が3万人以上の自治体は石狩市のみであり、31自治体が人口1万人未満という極めて人口少ない自治体です。
 このような自治体に弁護士が事務所を構えることは考えられません。そもそも事件が少なく、業務として成り立たないからです。
 しかし、そのような自治体の住民の方の中にも、法律問題を抱えている方が必ずいます。そのような方々が弁護士に相談できる体制をどのように作るか、これが札幌弁護士会の地域司法対策委員会の課題です。

【これまでの取組】
 札幌弁護士会は、法律相談センターという法律相談を受ける場所を作ってきました。最初は札幌だけだったのですが、滝川市(中空知法律相談センター)、岩見沢市(南空知法律相談センター)、岩内町(しりべし弁護士相談センター)、新ひだか町(ひだか弁護士相談センター)、小樽市、室蘭市、千歳市、浦河町、えりも町、様似町、日高町に開設してきています。
 また、日弁連、北海道弁護士会連合会、札幌弁護士会が共同して開設したひまわり基金法律事務所が、新ひだか町、岩内町、倶知安町にあります(室蘭市にもひまわり基金法律事務所がありましたが、その弁護士が室蘭市に定着したことによりひまわり基金法律事務所としてはなくなりました。)。このひまわり基金法律事務所というのは、開設費などを全国の弁護士から徴収した特別会費によって拠出して弁護士過疎地に法律事務所を開設するという運動として行ってきたものです。
 さらに、北海道弁護士会連合会は、すずらん基金特別会費というものを全道の弁護士から徴収して、すずらん基金法律事務所という事務所を開設しました。これは、全道のひまわり基金法律事務所に赴任する弁護士や、弁護士不在、偏在地域に事務所を開設する弁護士を育成するための事務所です。札幌弁護士会管内では、これまで、ひだか(新ひだか町)、浦川、岩内、倶知安の各ひまわり基金法律事務所の所長弁護士を輩出している他、室蘭市、登別市に事務所を開設する弁護士を育成してきました。
 そして、札幌弁護士会は、弁護士がいない自治体や社会福祉協議会からの委託を受けて、法律相談を実施することも行ってきました。具体的には、砂川市、恵庭市、北広島市、余市町、栗山町、夕張市、倶知安町で行っています。

【今後の方向性】
 このように、札幌弁護士会は、地域司法についてとても積極的に取り組んできたといえると思います。しかし、これでもまだ十分とはとてもいえません。弁護士不在自治体の方々には、これらの法律相談センター、自治体・社会福祉協議会の相談会実施自治体での相談、ひまわり基金法律事務所やその他の地方で開設した法律事務所まで出向いてもらわなければならないという状況にあるからです。自分が住む自治体で法律相談を受けられる体制、これがどうしても立ち後れているといわなければなりません。また、自治体相談が行われている自治体でも、数ヶ月に一度とかせいぜい1ヶ月に一度の法律相談会しか行われておらず、すぐに相談したいという方々の需要に十分に応えうる体制にあるとはとてもいえません。
 そこで、地域司法対策委員会は、平成23年度から、弁護士不在自治体における高い頻度での法律相談会を一つの柱とした運動を展開することにしました。
 その具体的な内容や現状などは、次回に。

教育論議における『日本の常識は、世界の非常識』

 教育論議における『日本の常識は、世界の非常識』

 弁護士の佐藤博文です。
 昨年、日弁連憲法委員会の一員として、6月の日弁連イギリス教育実態調査、10月の日弁連人権擁護大会教育分科会に参加した私は、教育論議における『日本の常識は、世界の非常識』を実感した1年でした。

 日本の子どもの実情を表すデータがあります。ユニセフ・イノチェンティ研究所の調査(2007年)によると、自分を「孤独」と感じる子どもが、日本が29.8%で断トツの1位、2位がアイスランドの10.3%ですから実に約3倍。イギリスは5.4%。子どもの幸福度世界1位と言われるオランダは2.9%で日本の10分の1です。

 傷つかないためには  気づかないこと
 傷つかないためには  感じないこと
 傷つかないためには  見ないこと
 傷つかないためには  言わないこと
 傷つかないためには  聞かないこと
 傷つかないためには  望まないこと
 傷つかないためには  諦めること
 傷つかないためには  装うこと
 傷つかないためには  自分を見せないこと
 これは、現代の子どもの「生きづらさ」を表現した記述です。おとな社会の「生きづらさ」そのものではないでしょうか。これを深刻であると認識し、変えようとする問題意識を持たずして「教育」や「子ども」を論ずることはできないと思います。

 日本の子どもの学力低下も問題とされています。PISA(OECD生徒の学習到達度調査)の国別順位で、日本はかつて1位だったのに、今や読解力15位、数学的リテラシー10位と落ち込んでおり(2006年)、深刻だと。ちなみに1位はフィンランドです。
 そこで日本では、2007年から全国一斉学力テストの再開、学校評価制度の導入、教育職の階層化(管理統制の強化)が行われました。学校、教師、生徒に目標を課して競争させれば成果が上がるという発想です。2006年9月に「教育再生」を掲げて政権についた安倍首相の目玉政策でした。
 しかし、学力世界1位のフィンランドには、全国一斉学力テストがありません。PISAの順位向上と教育への競争主義の導入を掲げた英サッチャー政権の「教育改革」は失敗に終わり、政権交代しました。
 学力は、体力や運動能力、芸術性、協調性など多様な人格の一側面にすぎず、他の側面と相乗的に発展するものです。自由で多様な、そして自主的、批判的精神に満ちた全人格的な教育こそが真の教育であり、それが「世界の常識」だと確信しました。

 昨年の総選挙で再登板した安倍首相は、サッチャー教育改革の信奉者であり、自民党の仲間と共にイギリスに行き「サッチャーに学ぶ教育正常化への道ー英国教育調査報告」(2005年4月PHP研究所発行)に登場しています。安倍氏は、新年早々に再び「教育再生実行本部(仮称)」設置を掲げましたが、これ以上日本の子どもたちを何処に導こうというのでしょうか。

                                                       2013.1.7記

明けましておめでとうございます

 新年明けましておめでとうございます

 2009年8月の総選挙で、自民党政権による新自由主義・構造改革の非情さに痛めつけられてきた国民は、自民党に見切りをつけ「政権交代」を実現しました。
 あれから3年4か月経った今回の総選挙。今度は、新自由主義批判のマニフェストを捨てて、消費税引き上げ、TPP交渉参加、日米同盟強化、原発維持など国民に痛みを押しつけた民主党政権に代わり、政策的には何も変わらない自民党へ再び「政権交代」させました。
 しかし、今回の総選挙の投票率は史上最低の59%。自公で3分の2の議席を取りましたが、得票率は4割にすぎません。棄権した4割、自公に投票しなかった6割を合計すると、実に76%の国民が自民党政権に投票していないことになります。
 選挙は「ゼロ・サム」ゲームではありません。この圧倒的多数の「民意」こそが、今後の自民党政治、今年7月の参議院選挙を左右することになります。
 ミラン・クンデラ(チェコ生まれの作家)は言いました。「記憶し続けること、憶えているということが、弱い民衆の武器である。我々が抵抗する唯一の武器は、記憶すること、決して忘れないこと。」
 私たちは、皆様と一緒に、自由で平和な社会、人権が尊重される豊かな社会を作るために、努力していく決意です。
 今年もどうぞ宜しくお願いいたします。

                               2013年1月
                                    北海道合同法律事務所一同

渡島信金・昇格差別争議/道労委が救済命令

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 2012年11月25日付金融労連(全国金融労働組合連合会発行の新聞)に渡島信金の昇格差別争議における北海道労働委員会の救済命令の記事が掲載されましたので,転載いたします。本件は,当事務所の長野順一,佐藤博文が代理人を務めております。


 ≪島信金・昇格差別争議/道労委が救済命令≫

 11月15日、北海道労働委員会は、渡島信金の中原委員長への昇格差別を不当労働行為と認定する救済命令を出しました。命令交付には、金融労連北海道地協から佐藤中執と渡島信金・加藤さん、ユニオン柴田さん、小樽信金OBの土肥さんが応援にかけつけました。
 中原委員長は、現在、勤続38年、56歳、組合三役を28年勤めています。通常30歳前後で代理職以上に昇格するものが増えるなか、これまで一度も事務職C級から昇格しないという、明らかな差別を受けてきました。
 特に平成9年、伊藤理事長が就任した時期から、組合つぶし攻撃が激しくなり、中原委員長に対する差別的取扱が続いてきたとして救済を求めていました。
 救済の内容は、申立日から一年前までにさかのぼって、①平成21年4月1日付で、事務職C級から管理職D級に昇格させ、昇格後の資格に対応する職位を付与したものとして取り扱え、②前項で命じた取扱いにより、平成21年4月1日から受け取るはずの給料及び賞与の差額を支払え、③中原委員長を昇格させず、かつ資格に対応する職位を付与しないことにより組合の運営に支配介入してはならないと命じ、陳謝文の10日間の掲示も命じています。
 同日の報告会には、報道機関の記者やカメラも入り、その中で、弁護団の長野弁護士が「組合役員への昇格差別を明瞭に認定、不利益についての救済も命じた大きな意義あるもの」、佐藤弁護士も「画期的な命令であり、全国の組合を励ますもの」と表明、中原委員長は、「約2年たたかってきて良かった。金庫経営者は命令を履行し、争議解決を」と訴えました。
 この模様は、当日夕方のNHKの全道ニュース、翌日の新聞各紙で報道され、顧客から大きな反響も出ています。

【全国から要請FAX集中を】
 翌16日付で、金融労連・函労会議役員参加の団体交渉を22日に行うよう申し入れましたが、経営者は拒否すると回答、組合は「手続上の期限前に話し合いによる解決を」と求めましたが、経営者は「その事も含め結論を出す、団交出来ない」と返答しました。
 全国、全道、地域から「命令の履行による争議解決を」との要請書FAXが集中している最中での、経営の不誠実な姿勢に怒りを感じます。さらに一層の奮闘をしたいと思いますので、皆様のご支援をお願い致します。

 

地域司法対策委員会について

地域司法対策委員会について

 弁護士の川上有です。
 前回、私のコラムで弁護士会の委員会活動ということを取り上げました。今回は、私が現在、委員長をしている地域司法対策委員会の活動を紹介しようと思います。
 さて、地域司法対策委員会とは、弁護士不在地域を中心とする札幌以外の住民の方々が、法律問題で困ったときにどうやって弁護士にアクセスすることができるようにするか、その方策を立てるというのが主な役割です。
 ということになると、まず、札幌弁護士会のエリア(札幌地方裁判所の管内)の自治体の状況と、弁護士の開業状況を把握する必要があります。

 そこで、皆さんにクイズを出します。

 じゃーん、「司法過疎地統計クイズ!!」(かなりマイナーな内容)
(人口については、平成23年3月末の住民基本台帳によります)

1 札幌弁護士会(札幌地方裁判所)管内の自治体数は(   )です。
  注:北海道には4つの弁護士会・地方裁判所があります。札幌、旭川、釧路、函館です。
    札幌弁護士会のエリアは、石狩、空知(北空知ほか一部を除く)、後志(一部を除く)、胆振、
    日高です。
2 このうち、人口100万人以上の自治体数は(   )です。
  その自治体名は(    )です。
3 1のうち、人口10万人以上の自治体数は、(   )です。
  その自治体名は(    )です。
  そのうち、最も人口が多い自治体名は、(    )です。
4 1のうち、人口5万人以上の自治体数は、(    )です。
  その自治体名は(    )です。
5 1のうち、人口3万人以上の自治体数は(    )です。
6 1のうち、人口1万人未満の自治体は、(    )です。
7 最も人口の少ない市は(    )で、人口は約(    )人です。
8 最も人口の少ない自治体は(   )で約(   )人です。
9 1のうち、平成13年の人口に比べ平成23年の人口が増加した自治体数は(   )です。
  そのうち、合併によらずに人口が増加した自治体が、(   )で、その自治体名は、(   )です。
10 1のうち、平成13年の人口と比べ平成23年の人口が10%以上減少した自治体数は、
  (    )です。
11 1のうち、弁護士が事務所を置く自治体数は(    )です。
12 人口3万人以上で、弁護士事務所のない自治体数は(    )で、自治体名は、(   )です。
13 弁護士不在自治体数は、(   )です。

解答
 1問 61 
 2問 1、札幌市 
 3問 3、苫小牧市、小樽市、江別市、苫小牧市 
 4問 7、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市、室蘭市、登別市

 5問 2 
 6問 31 
 7問 歌志内市 4000人 
 8問 神恵内村、1000人 
 9問 9、6、札幌市、千歳市、恵庭市、石狩市、苫小牧市、ニセコ町 
 10問 34 
 11問 17 
 12問 1、石狩市 
 13問 44

 さて、どのくらい分かりましたか。
 正解率5割に達した方は、札幌圏について詳しく郷土への思いが強い方といえるでしょう。正解率8割を越えた方は自治体マニアというべきで、もう少し別なことに興味を持ちましょう。全問正解の方は病院に行きましょう。

 札幌の自治体、弁護士の状況は、全国的に見てもかなり特殊です。

【自治体の状況】
 まず、61の自治体が存在するというのはかなり多いといえます。私がきままに調べたところ(ですから正確ではありません)、多分、全国の都道府県(北海道は札幌、旭川、釧路、函館の4つの弁護士会があります)で、5番目以内に入ります。
 そして、100万都市が一つで、10万人以上の自治体がわずか3つしかありません。そして、過半数の31自治体が人口1万人未満です。最少の市は歌志内の4000人(多分、全国1人口の少ない市だと思います。)、最少の自治体は神恵内村の約1000人です。しかも、この10年間で人口が増加しているのは合併増も含めて9自治体にとどまり、ほとんどの自治体で人口が減少しており、過半数の34自治体で10%以上減少しており、30%近く減少している自治体もあります(夕張市、歌志内市)。
 要するに、やたらと自治体数が多く、その多くが小規模な自治体(それもかなりの小規模)であり、ほとんどが札幌及び札幌圏に集中している上、この傾向は一層強まることがほぼ確実といえます。

【弁護士の状況】
 札幌弁護士会には627人の弁護士がいます(平成24年10月現在)
 うち、札幌市に事務所を置く弁護士が約580人。札幌近隣(裁判所の本庁エリア)を含めると590名を越えます。
 これに対して、札幌地方裁判所には7つの支部があり、それぞれの支部地域に事務所を置く弁護士数は、それぞれ、滝川支部2名、岩見沢支部3名、小樽支部9名、岩内支部2名、苫小牧支部10名、室蘭支部7名、浦川支部3名で、合計してもわずかに36名です。
 どうでしょう、ほとんどが札幌に集中しており、かなり偏った状況にあることが分かりますよね。
 多分、新たに支部に事務所を開設する弁護士はもう少し増えるでしょう。しかし、その多くは、苫小牧、小樽、室蘭など比較的人口の多い都市であり、かつ増加人数も若干名でしょう。そして、現在弁護士が不在の自治体で弁護士開業が見込めるのは、石狩市(人口5万人以上、札幌に近い)くらいではないかと思います。人口が少ないところでは、相談や事件があまり見込めないからです。

 地域司法対策委員会の活動は、さて、このような状況にある札幌圏において、どうやったら住民の方々が弁護士に相談できる体制を整えることができるかということにあります。
 かなり難しい問題です。
 ということで、次回は、地域司法対策委員会の活動を具体的に紹介させてもらおうと思っています。

育児から学んだこと。

 育児から学んだこと。

 弁護士の安部です。
 昨年9月に生まれた長女も、早いもので1歳を過ぎました。
生後6ヶ月ころから人見知りが始まり、未だに人見知り期が継続しています。
 体力がついてきた分、人見知りしているときの泣き方、泣く時間などがパワーアップし、親子ともどもぐったりすることもしばしば。
 周りにあまり人見知りの子どもがいないのと、あまりに人見知りがひどくて外出がままならないストレスで、なぜうちばかり…と思ってしまっていたのですが、先日、この考え方を変える出来事がありました。
 それは、本州に住む夫の両親が、娘に会いに札幌まで来てくれたときのことです。
 案の定人見知りでギャン泣きし続ける娘。でも、この人達には愛想よくせねばと思ったのか、途中から、指しゃぶりなどでなんとか自分を落ち着かせ、涙をこらえようとし始めました。
 目にいっぱい涙をためながらも、泣かないようにしている娘を見ていたら、娘だって、わがままで人見知りをしている訳ではなく、娘自身もつらいんだ、頑張っているんだということが分かり、それ以来、娘の人見知りにストレスを感じなくなりました。

 法律相談をしにいらっしゃる方の中には、日々のストレスなどで心の病気を抱えていらっしゃる方が少なくありません。病気のせいで何もする気がおきなかったり、働くことが困難になっていたりするのに、なかなか周囲に理解されず、怠けていると思われたりすることもあります。
 しかし、このような方達も、なりたくて心の病気になったわけではなく、むしろ、病気を治して、普通に働いたり、生活したりしたいのです。一番つらいのは、ご本人達なのです。

 今回、娘には、大切なことを教えてもらった気がします。

 当事務所では、少しでも皆さんのお力になり、トラブルを解決できるよう、弁護士、事務局一同日々研鑽に励んでいます。
 お困りのことがありましたら、まずは相談にいらしてください。

生活保護バッシングはいじめと同根

 生活保護バッシングはいじめと同根

 弁護士の笹森学です。

◆ 私は、6月に警察に一旦逮捕されながら逃走し、追跡劇を演じて捕まったお騒がせ男の国選弁護人を担当しています。彼は札幌市から生活保護費を不正に受給したとして告訴されました。車を2台も持っていたのにそれを隠して保護を申請し、昨年9月から今年の4月までに生活保護費約96万円を受け取ったというもので、かなり大きく報道され、つい先週、詐欺罪で起訴されました。

◆ 私は彼の弁護人として記者の取材を受ける度に忸怩たる思いに駆られます。私の被告人は不正受給を認めていますから非難されることはやむを得ません。しかし、彼の事件が、生活保護バッシングに利用され、保障を求める弱い人を吊るしあげることに悪用されるように思えるからです。

◆ 生活保護受給者は6月で211万人となり今年度の予算は3兆7000億円でいずれも最大規模に上っています。同時に政府は不正受給に厳罰化で臨み適正受給を徹底するとの方針を打ち出したと報道されています。要するに、生活保護予算を削りたいということです。この結果、生活保護受給者が監視され、保護の申請が認められにくくなるという間違った道に進む危険があります。白石区姉妹餓死事件が繰り返される危険を孕んでいます。

◆ つい最近、お笑い芸人の母親が生活保護を受給していることでお笑い芸人がワイドショーなどで糾弾されました。生活保護者が多い地方自治体は地方交付税が無駄になり財政が破綻するなどと訴える地方分権主義者も現れる始末です。前者は家族に扶養できる者がいないことは保護を受ける要件ではありませんから全くの間違いですし、後者も生活保護費は全て国の予算で賄われますから、これまた全くの間違いです。不正受給者が増えているという報道もされています。しかし、この報道もデータを正しく伝えていない間違いです。(世にはびこるこのような間違った情報がどうして間違っているかを日弁連がやさしく説明したパンフを公開しています。是非お読みください!
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/seikatuhogo_qa.pdf

◆ 生活保護制度は、社会から落ちこぼれて死なないための重要なセーフティーネットで、国民が助け合う素晴らしい社会保障の制度です。憲法25条が保障しています。このような一連の生活保護者バッシングはいじめと同根で、弱い者いじめをして世の中への不満を解消する巧妙な世論操作です。このような間違いを真に受けて、間違った世の中にしないように是非注意したいものです。

弁護士会の“委員会”とは

 弁護士の川上有です。

1 弁護士会の「委員会」ってなあに?
 弁護士会には、委員会というものがあります。
 札幌弁護士会では40以上の委員会があります。何をしているかというと、弁護士会の内部の総務的なことを行う委員会もありますが、多くは社会に無数に存在する人権問題に取り組むものです。例えば、犯罪被害に遭われた方々の被害回復など様々な支援を行う(犯罪被害者支援委員会)、主として女性差別の差別問題などの人権問題に取り組む(両性の平等委員会)、民事事件に暴力団が介入することによって生じる人権問題にあたり、暴力団と直接交渉などを行う(民事介入暴力対策委員会)、子どもの人権救済などに取り組む(子どもの権利委員会)、高齢者障害者問題に取り組む(高齢者障害者支援委員会)等々。
 これらの委員会活動は、ほとんどが無償で弁護士は手弁当で活動しています。
 札幌弁護士会の会員の多くは、委員会活動に相当積極的に関わっており、全国の弁護士会(50の弁護士会があります)の中でもその活動は高い評価を受けています。
 そして、一人の弁護士は1委員会という訳にはいかず、通常2〜3の委員会に所属しているほか、人によってはプロジェクトチーム、ワーキンググループなどにも所属していたり、北海道弁護士会連合会や日本弁護士連合会の委員会活動にも従事しているという状況にあります。

2 なぜ、一生懸命にやるの?
 費用をもらわないのに、なぜそれほど一生懸命に委員会活動をするのでしょうか。
 大上段に構えていうならば、「人権擁護と社会正義の実現」という責務が弁護士にあるから(弁護士法1条)ということになります。しかし、実態としてはこのような法律上の責務があるから(しかたなく)やっているというよりも、弁護士になる人たちの多くが、このような社会に蔓延する人権問題や社会問題について高い意識を持っており、弁護士になった以上、「当然に」このような活動に参加しているということなのだと思います。少々格好をつけていうと、弁護士こそが日本の人権問題を担っているという自負が、膨大な無償行為を可能にしていると思うのです。

3 北海道合同法律事務所の弁護士の姿勢は?
 もちろん、全ての弁護士が同じように一生懸命委員会活動をするかというとそうではなく、どうしても各人の委員会活動に対する姿勢・意識・意欲によって大きく差が出てしまいます。この点、北海道合同法律事務所の弁護士は、みな本当に積極的に委員会活動をしています。
 ちなみに、委員会には委員長が置かれますが、北海道合同法律事務所の弁護士では、
長野順一 財務労務委員会・機構問題検討委員会
佐藤博文 法教育委員会
内田信也 高齢者障害者支援委員会
笹森学  心神喪失者等医療観察法に関する委員会
渡辺達生 会報委員会
川上有  地域司法対策委員会
と、6名もの弁護士が委員長を務めており、おそらく札幌弁護士会では最多数だと思いますし、三浦桂子(両性の平等委員会)、中島哲(法律相談センター運営委員会)も副委員長を務めています。

4 結構すごいことでは?
 いずれにしても、弁護士というそれなりの能力を持った人間が、これほど多くの委員会活動を無償で行っているということは、手前みそではありますが、誇って良いことだと思っています。他の法律分野の業種だけでなく、これほどの無償行為を行っている業界団体は、他に例がないのではないかと思います。先にも述べたとおり、人権問題に対する自負がなければ、これほどの活動を継続的に行うことはできないと思うのです。

5 私は?
 私はというと、地域司法対策委員会の他、刑事弁護センター運営委員会、裁判員裁判実施本部、法テラス運営等対策委員会などのほか、弁護士過疎・偏在対策ワーキンググループ(座長)、法律相談センターあり方検討プロジェクトチーム(事務局長)、北海道弁護士会連合会のすずらん基金運用検討委員会(副委員長)、すずらん基金法律事務所運営委員会、日本弁護士会連合会の刑事弁護センター委員会、えん罪原因究明第三者機関ワーキンググループなど全部で10数個の委員会等に入っています。必然的にかなり多くの時間を委員会活動に割くことになり、これまで20年近くの弁護士生活の中で、毎年200時間〜300時間を委員会活動に当ててきていると思います。
 さて、そういう私が現在最も力を入れているのが地域司法対策委員会です。
 そこでの活動については、皆さんにもぜひ知って頂きたいと思うのですが、少々長くなりそうなので、またの機会にお伝えすることにしましょう。

袴田事件で再審弁護人をしています。

 弁護士の笹森学です。
 袴田事件で再審弁護人をしています。    

◆ 私は、徳島ラジオ商殺人事件の被告人とされた富士茂子さんが人事不省に陥った時、姉妹弟が再審を引き継ぐという決起集会に参加して「再審弁護人」の仕事を知り、再審弁護人になりたくて弁護士になりました。日弁連の再審部会に所属し、これまで本道の晴山事件、栃木県の足利事件などに関わって来ました。いずれもDNA鑑定が問題となりました。その経験を買われて、現在は、袴田事件の弁護人でもあります。

◆ 1966年6月未明、静岡県清水市で放火された味噌工場から4人の刺殺焼死体が発見された。消火活動で右手を負傷し従業員の中で縁戚関係にない「遠州者」として警察に狙われた日本ランカーの元ボクサー袴田巌さんは連日十数時間に及ぶ拷問的取調べを受け、19日後に遂に自白。住居侵入・強盗殺人・現住建造物放火で起訴され、静岡地裁で死刑判決を受けました(後に最高裁で確定)。これが日弁連も再審を支援している袴田事件です(心を病む袴田氏は、姉を保佐人として第2次再審請求中です)。公判中の67年8月に味噌樽から血染めの「5点の衣類」が発見され、パジャマを着て犯行を及んだとする自白は覆され、自白調書45通中44通は証拠から排除されるも、死刑判決。控訴審で袴田さんは5点の衣類のうちズボンを着用できませんでしたが死刑は維持されました。

◆ 第2次再審では、この血染めの「5点の衣類」が2人の鑑定人によってDNA鑑定され、被害者の型はおろかあるべき所から袴田さんのDNA型も発見されないという鑑定結果が出て、死刑判決に対する疑問が高まっています。今後、鑑定人尋問が予定されていますので、皆さん注目して下さい。
(2007年、守秘義務を破り、2対1で敗れ死刑判決を書かざるを得なかった苦悩を告白した裁判官熊本典道氏をモデルに、人が人を裁くことの重さを告発した高橋伴明監督の映画「BOX袴田事件ー命とは」も公開済みです:事務所通信北の峰2010年夏号参照 http://www.hg-law.jp/kita-mine/2010sum.html#no11)。

◆ 私は、鑑定人の証人尋問ため鋭意準備中で、医学書に埋もれているところです。

内定取り消しは無効となることがあります(弁護士中島の労働事件簿7)

弁護士中島哲です。

平成24年9月4日付けの厚生労働省の報道発表資料によると、平成23年度に、北海道の某企業が19名の内定取り消しを行ったようです。

この会社にどのような事情があったかは知りませんが、内定取り消しは無制限に許されるわけではなく、一定の場合には、内定取り消しが無効となることもありますし、恣意的な内定取り消しは損害賠償の対象となることもあります。

もしそのような事態に遭遇したら、ぜひ一度ご相談下さい。