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「信頼はいつも専制の親である。」

弁護士の佐藤博文です。

「信頼はいつも専制の親である。」、これは、アメリカ憲法の起草者で後に大統領にもなったジェファーソンが、憲法と民主主義について説いた有名な言葉です。

国民が主権者であり、民主主義を理念とする国家は、政治家を信頼して任せてはいけない。国民が情報をもって自ら決定しなければならない。そうでないと専制政治を招くと。民主主義にとって一番大切なことです。

ところが、TPP交渉はどうでしょうか。

参加国には秘密保持契約の締結が求められます。日本政府は、平成25年7月、マレーシア交渉から参加するにあたって、交渉中はもとより協定発効から4年間は交渉経過等内容の開示を一切禁じる協定にサインしました。その結果、全てが秘密に進められ、国会議員すら何も分かりません。締結した後に「まずかった」と思い直しても、交渉の内容を検証し、後戻りすることもできません。

このようなことは、国民主権を定めた前文や第1条、国民の知る権利を定めた21条などに反する、重大な憲法違反です。

政府は、「わが国の国益を最大限に実現する」と言いますが、誰がそれを保証し、誰がそれをチェックするのか。王様が平民に向かって「我を信ぜよ」と言うのと同じではないでしょうか。

「日本は、いまやアメリカ憲法と同じ原理にたつ民主主義の国である。だから、憲法と民主主義に反する交渉はできない」と言えば、アメリカに返す言葉はないのです。いまなら交渉離脱は簡単なのです。

 

「国の主権を損なうようなISD条項は合意しない」

これは、安倍政権が誕生した平成24年末の総選挙において、自民党が掲げたTPP反対の公約スローガンです。

政府・自民党が、TPP協定に含まれるISD条項が、食の安全、医療・福祉・教育、労働法制、産業振興、地域振興などの様々な国内規制=非関税障壁を撤廃させることに本質があり、わが国の主権を侵害しかねないことを知っている証拠です。

ところで、この耳慣れない「ISD条項」とは何でしょうか。

外国投資家(企業や個人)が、投資協定に反すると考えたときに、その国を相手に国際仲裁機関に訴えることができ、訴えられた国の政府はその仲裁判断に無条件に従うことを約束することを定めた条項のことです。

この場合の「政府」には中央政府だけでなく、地方自治体や政府投資機関まで含まれ、「措置」には行政府の行為だけでなく、法律や制度、裁判まで広く含まれます。

簡単に言いますと、外国投資家の前に国家が自ら主権を制限し、彼らの金もうけの自由を最大限に保障してやる制度です

ISD条項に基づく提訴が急増したのは、1994年発効のNAFTA(北米自由貿易協定)からでした。累計件数が450件に及び、原告企業の数はアメリカが断トツに多く、勝ったのはアメリカ企業だけだと言われています。仲裁の結果を秘密にできるので正確なことすら分からないという状況です。何とも恐ろしい話です。

ISD条項は、国会が国民の最高意思決定機関であるとする憲法41条や、日本での紛争は日本の裁判所で解決できるとする憲法76条に反する、重大な憲法違反です。

 

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